佐天涙子には夢があった。
学園都市で超能力者になる事だった。
だが、その夢が果たされる事の無いまま、涙子は天寿を全うした。
そんな彼女は何故か学園都市に入る以前の幼少時代に戻っていた。
過去へと「死に戻った」涙子は今一度、「強くてニューゲーム」モードの人生を超能力者になる夢に向かってやり直す。
とあるシリーズ2次創作。みんな大好き佐天さんの魔改造ものです。
原作の世界で亡くなった佐天涙子が死に戻った影響で、
学園都市入学前の幼少時の自分に生前学んでいた魔術の知識が備わることに。
こうして原作ではレベル0であった佐天涙子の「強くてニューゲーム」人生が始まります。
この作品はタイトルでも記載したように使用する魔術の描写が非常に凝ったものになっており、
具体的には以下のような非常に厨二心が溢れる呪文を始め練られた設定が展開されていく。
「──ハディト。無限の星々たる天空(ヌイト)の補完者にして配偶者。それは魔術師にして退魔師。広がりは無く、『人の魔術の光(クハブス)』を住処とす。それは遍在する中心点。全ての人の心の内、全ての星の中心核にて燃える炎なり。それは青く、天空(ヌイト)の光の中では金色なれど、双眸は紅く閃き、スパンコールは紫と緑。紫を超える紫。可視域よりも上の光なり。それはとぐろを巻いてまさに跳び上がろうとする秘密の蛇。とぐろ巻くところ喜びあり。頭を挙げれば天空(ヌイト)と一つとなり、頭を垂れ毒を吐けば大地が歓喜しそれと一つとなる。すなわち、炎の蛇なり」
アレイスター=クロウリー著『法の書』より抜粋
使用しているオリジナル魔術もアレイスター=クロウリーがデザインしたトート・タロット等の
突拍子もない魔術ではなく、原作キャラゆかりの魔術が使用されるので
設定の濃いオリ魔術が原作描写に混じっても全く違和感ないのが凄い。
また、この作品の第二の主人公といっても過言でない初春の活躍ぶりが魅力的で、
まさか初春のレベル1の超能力で魔術の副作用を抑え込む斬新な解釈から始まり、
雲川芹亜や土御門元春等の学園の暗部を真っ向から出し抜いていくその手腕も圧巻です。
(私の能力……『定温保存』は、両手で包み込んだ物体の温度を一定に保つ能力。つまり、物体の分子運動を一定に保つということ。『魔術の副作用』による血管や神経の断裂を未然に防ぐこともできるかもと思ってたけど、この推測は当たってた……!)
そんなダブル主人公から成るこれまでに見たことが無い本格魔術戦が展開され、
原作から外れてオリジナル展開に行ったところでエターとなってしまっていましたが、
2024年7月に3年ぶりに更新再開されました!
説得力ある濃厚な魔術描写を読みたい方お勧めなので是非一読してみて下さい。
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