
窃盗で捕まった二十二歳の田川達也は、警官のミスで偶然逃げ出すことに成功する。小柄で華奢な達也は、逃走中に忍び込んだ家でたまたま試した女装姿に自信を持ち、女の子になって逃走することにした。
その後、観光客を装ってお洒落なホテルを泊まり歩いたり、学生証を偽造して女子高生になってファミレスでアルバイトしたり、はたまた大学入試に合格して女子大生になったりと、女の子としての生活を満喫しながら、警察の追跡の裏をかいたハチャメチャな逃走劇を繰り広げる。
全39話12万字のオリジナル長編連載作品。
指名手配犯の主人公が誰もが騙される上手すぎる女装で警察の捜査を潜り抜けて、
旅行先を満喫する逃亡生活を続けながら第二の人生で念願の普通の暮らしを送っていた。
その裏で警察の面目を賭けた六百人体制で捜査が始まるも奇想天外な発想で裏をかいていき
そうくるかと思わず唸る逃走劇の最後まできっちり描かれます。
本作の魅力は決して甘くない警察の捜査を描きながらも、
それを上回るとんでもないレベルの切り抜け方がどんどん繰り出されていく話の展開で、
あらすじにある情報だけでもここまでやるのか!?となる徹底ぶりが詰まっています。
そして出し抜いていく作品は敵役を下げて主人公を相対的に上げるのが手法としてありますが、
本作で出し抜かれる側の警察もきっちり捜査していてもこれは騙される…と同情するほどで
特にこの主人公の女装を始めて確認した時の警察の反応が好き。
「水曜日午前中の駅の監視カメラで茶系のスーツ姿の女性を再度調べましたらば、確かにこの写真と同じものと思われる服装の女性が確認できました。顔も結構はっきり写っています」
その写真を食い入るように観察してから松本は「これじゃあ誰も分からんよ」と吐き捨てるようにつぶやいた。
そこには、どこからどう見ても若くて、しかも美人のOLとしか見えない女性の姿が写し出されていたのだった。
15話
そしてその警察の捜査が逃れる為の逃走劇を描くのみならず、
対する犯人の主人公が女装生活で初めて手に入れた普通の生活の満喫っぷりが面白く、
決して損はさせないレベルのなろう作品となっているので是非一読してみて下さい。
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