――俺が今までに救った世界の数を知ってるか?
没入型端末が普及した近年、ゲームは既存の壁を悉く打ち破った。
リアルを越えたリアル。リアルに存在しない様々な物にまでそれは”現実感”を与えた。「だが、これは、本当にゲームなのか?」
制作者不明のゲーム。来歴不明のAI。
ゲーマーなら慣れていて当然だった。唐突に、壮大で理不尽なミッションを与えられる事に。次のそれは、世界を救う事。
「ティタン アッズワースの戦士隊」の作者黒色粉末氏の全55話完結長編オリジナル作品。
異世界での絶望的な撤退戦を戦い抜いた一人の英雄の物語です。
何時の間にか自端末にインストールされていた謎のVRシューティングゲーム。
ゲームを起動すると「惑星外起源種との全面戦争に突入した人類種を勝利に導いてください」と
ブルー・ゴブレットと名乗るナビゲーションAIから告げられる。
そしてキャラメイク後にエイリアンに失陥寸前の大陸の冷凍睡眠中の兵士に成り代わり、
友軍から置き去りにされ敵勢力圏に取り残された少年兵の集団を率いる少女クルーク少尉に
冷凍睡眠から叩き起こされて物語の幕が上がります。
先ずは孤立無援で何もかも足りない少年兵達を味方勢力圏への脱出に奮闘していきますが、
これが大作FPSのキャンペーンモード並みの熱いバトル・ストーリー展開を見せてくれます。
途中でテレビ局の戦場リポーターと出会ったことから始まるメディアでの主人公の英雄化、
続く後半では人をゾンビ化させる疫病の謎を巡る密度の濃い展開が詰まっています。
そして影響はゲーム内のみならず現実にも及んできて、
AIが他ゲームをプレイ中に強制的にログアウトさせて自分のゲームに参加させる等、
AIがプレイヤーを管理下に置こうとする不穏な行動をとってくる。
そんな中獅子奮迅の働きをして味方勢力圏に辿り着いても脱出の船に少年兵達の席は無く、
更には席を確保しても脱出後の少年兵達の身の振り方は定まらず生活もままらない。
この絶望的な環境におかれた少年兵たちをどうやって救うのか。
異世界で英雄となった主人公の戦いの結果を是非ご覧ください。
コメント
これ、普通にハリウッド映画のSF大作的空気感がありますよね。
本当に映画館で上映されていても全く驚かない本格派な作品でした。。。