少女フラムは、神の予言により、魔王討伐の旅の一員として選ばれることとなった。
全員が一流の力を持つ勇者一行。しかし、なぜかフラムだけは戦う力を持たず、ステータスも全て0。
肩身の狭い思いをしながら、それでも彼女は勇者たちの役に立とうと努力を続ける。
だがある日、パーティのうちの1人から騙され「もうお前は必要ない」と奴隷商人に売り飛ばされてしまう。
奴隷として劣悪な環境の中で生きることを強いられたフラム。
しかし彼女は、そこで”呪いの剣”と出会い、最弱の能力”反転”の真価を知る。
戦う力を得た彼女は、正直もう魔王とかどうでもいいので、出会った奴隷の少女と共に冒険者として平穏に暮らすことを決めるのだった。
――これは一人の少女が、平穏な日常を取り戻すためにどん底から這い上がってゆく、戦いの物語である。
全195話200万文字の書籍化済み長編オリジナル完結作品。
シリアスで重厚なストーリーと可愛い美少女同士の百合が楽しめる、
タイトルからは想像もつかない百合グロホラー描写有りのダークファンタジー作品です。
決してただの追放ものではない鮮烈なバトルシーンと尊い百合が読者を待ち受けます。
神託によって魔王討伐の旅に出た英雄の1人主人公フラムは、
“反転”という良く分からない能力を持ち、全てのステータスが0という落第生。
なので勇者PTでは戦闘以外の部分で貢献しようと頑張ってきたものの、
その貢献は全く考慮されず不遇の日々を送っていた。
遂には足を引っ張るばかりの主人公など要らないと仲間に奴隷として売り飛ばされて、
奴隷商人にも使い道がないとモンスターによって廃棄処分される寸前、
とある呪いの大剣を手にしたことで運命が変わる。
実は主人公の能力”反転”は呪いの装備を使えば使うほど強くなる能力で、
同じ奴隷で唯一生き残った包帯の少女ミルキットと共に冒険者生活が幕を開けます。
というあらすじで終わればほぼタイトル通りの展開ですがここからが本番で、
立ち向かうことになった創造神を崇める教会がどこまでも邪悪なのが本作の特徴。
教会の以下の研究によって人の顔は肉の渦と化し、街中の一般人は一文で殺される。
- 神の力によって死者を蘇らせる研究
- 兵器を作り出すためにモンスターを継ぎ接ぎ
- 心臓に神のコアを埋め込んだ子供の育成
チュートリアル第1章が終わり次第ホラーとグロ描写が両立するバトルシーンが開幕し、
タイトルの追放ゆるふわファンタジーから本格ダークファンタジーへと”反転”します。
さらに特に第7章からはまさかこれまでがチュートリアルだったのではと思わせるような
シリアスとその絶望をひっくり返すカタルシスが本作最大の魅力でしょう。
そしてそんなダークなバトル描写と両立しているのが尊く輝いている日常の百合描写で、
ここだけ切り取れば可愛らしさ満点のきらら系になるという
希望の光と絶望の闇の相転移の連続が読者を魅了してやみません。
各キャラクター達も魅力的なのも特色すべき点で、ヒロインミルキットは勿論ですが
主人公を追放する悪役のジーンでさえもその一本芯の通った性格で株が上がっていく。
タイトルのガチ勢は伊達ではなかった。
終盤にかけてどんどんと描写のダークさとSAN値削られ具合が増していく作品なので、
これ以上はヤバいかなと思ったら撤退推奨です。
ですが各要素の濃密さによって読了後には良い意味でヤバい作品だったな…と
記憶に残ること間違いない大作です。
この作風で総合評価10万ポイント越えにも納得せざるを得ない魅力を持っています。
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