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亡くなった勇者の謎に迫る過程で英雄譚が紡ぎ出されるファンタジーミステリ「誰が勇者を殺したか」

誰が勇者を殺したか
ヒストリカル オリジナル戦記 ミステリー

「この村から魔王を倒す勇者が現れる」

そう告げた預言者がいた。
村はその預言を信じた。
何故なら、村には剣と魔法に秀でた少年がいたからだ。
8年後、少年は勇者となり、魔王を倒した。だが、それと同時に勇者は帰らぬ人となった。

勇者は何故死んだのか?

その死から4年後、勇者の功績を文献にまとめていくうちに、その真実が明らかになろうとしていた。

全20話7万文字の書籍化済みオリジナル長編完結作品。
魔王を倒して世界を救いそしてそのまま帰らぬ人になってしまったという勇者。
勇者が何故誰に殺されたのかという謎を勇者PTとの対談と過去の回想から明らかにする、
その過程で見事な勇者の信念や衝撃的かつ鮮やかな伏線回収を見せた良作です。

国王の御前で必ず魔王を倒すと宣言し見事魔王の暗殺を成し遂げた勇者アレス。
しかしその彼に姫と結婚して次期国王となる輝かしい未来が到来することはなく、
国が亡くなった彼を讃えるべく勇者の偉業を纏め上げる事業を開始したのが本作の始まり。
そこから彼の実像に迫るべく勇者パーティとのインタビューが開始されますが、
実はこの勇者は剣も魔法も神の奇跡も何も才能がないただの凡人だった。

そんな彼が何故そこまでして勇者を為そうとしたのか回想シーンで謎が深まっていき、
そしてタイトルで肝心の「誰が勇者を殺したか」その事実が明らかになると
単純なミステリーには留まらなかった一人の男の物語によって魅せられる結末が描かれます。

本作はインタビューによって客観的にそして過去の回想からは主観的にと、
1話ずつ交互に勇者を描き出して尚も中々見えてこない勇者の謎。
その勇者を追うごとに積み重なっていく違和感が
中盤で一気に解消されていく構成が先ず素晴らしい作品でした。

7万文字で読み終わる為に最初に読み終わった後にも直ぐに読み返すことが出来て、
結末を知ってから読むと成る程ここがあの展開に至る伏線だったのかと気づくことが多く
読み返しても更に面白い内容が詰まった展開が楽しめます。

勇者を除けば自分の予想を超えてきた勇者の母親のエピソードがお気に入りで、
終盤に向かい展開も落ち着いてくるかなと思ったら良い意味で裏切られました。

そして勇者パーティを始めとした各キャラクターも魅了的に描写されていて、
簡潔に描かれている人物像が実に個性的で更に想像を膨らませたくなる。

男性陣も良いキャラですが面白酷い修行を命じながらも結局は回復魔法を取得出来て
あの美味しいスイーツの場所も教えてくれた腹黒い聖女マリアさんが好きでした。
そんな数万文字で綺麗に纏まっているのが特徴的な本作ですが読了して物寂しさを覚えた方は
書籍版が各キャラクターの追加エピソード多数でより深く本作に入れるのでお勧めです。

記事紹介ツイート

コメント

  1. 匿名 より:

    面白かった…!

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