ただの村娘として何もしらぬままに生き、死ぬはずだった。
前世の記憶など思い出すはずもなかった。
それは本来ならば自らが異分子である事にすら気付かないはずの小さな異分子――のはずだった。
しかし歴史を捻じ曲げる者達の暗躍により、それは自らが何者かを悟り、そして『原作』への介入を開始する。
卵が先か鶏が先か――。
運命を変えたから彼女が目覚めてしまったのか、彼女がいたから運命が変わったのか。これは数多存在する並行世界のうちの、正史からは観測すらされない世界の物語である。
ドラゴンボール原作の全135話80万字の長編完結作品。
1人の転生少女が地球の神となって悟空達を教え導く師匠として登場し、
そこからインフレ甚だしい原作で最初から最後まで第一線を張り続けていく。
劇場版やゼノバースの設定までもをふんだんに盛り込んだオリジナルストーリーが展開される、
映画も見られているようなファンの方なら気に入ること間違いない原作愛を感じる傑作です。
原作250年前に突然前世の記憶から原作知識を得た地球の田舎に住む主人公リゼットは、
この鍛えれば何でもできるような世界に生まれて平凡に生きるのは余りにも勿体ないと、
ドラゴンボール世界を隅々まで旅して世界を堪能し尽くすことを決意する。
その手始めに重りを手足に仕込んで力仕事をする修行を実施して、
未だ認知度が低かったドラゴンボールを集め自らに不老性と再生能力を願い下準備は完了。
そしてカリン様や地球の神から気の操作を習得し悪人達を相手に実戦経験を積む日々の中、
助けた民衆から亀仙人や鶴仙人と並ぶ伝説の龍天女と称えられる名声を獲得した主人公。
更に地上における神の代理人にも任命され更なる修業を続けていたところ、
確保していたドラゴンボールの一つを求めにブルマと悟空達がやってきた。
今は原作知識によって破格の戦闘力をもっていてもこのインフレ世界で果たして通用するのか。
それを確かめる為の仲間の一人ではなく悟空を導く師匠の立場で挑むフリーザ編が終わると、
原作からかけ離れ難易度Lunaticと化した世界でのド迫力バトルが最後まで続いていきます。
本作は主人公リゼットのキャラクターが非常に魅力に溢れているのが特徴的で、
サイヤ人でもナメック星人でも何でもないただの地球の一般人でありながら
凄まじいインフレにもついていって最後まで最強クラスに君臨する。
一歩間違えれば嫌味になってしまうようなその設定が全く鼻につかない、
主人公の聖人ぶりと何よりもその可愛さには萌えました。
原作キャラクター達も作者の深いシリーズ知識による再解釈によって新しい面を見せ、
ターレスを始めとする悪役達も悪役のままでその個性を更に輝かせて、
特にセルは初登場から印象が二転三転するも判明した真相には思わずしんみり。
そして魔人ブウ編の最後でブウを殺すか葛藤する主人公を見抜いた悟空は最高に格好良かった。
特に印象に残った展開はフリーザ編が終わり一息ついた所に訪れた絶望の未来で、
原作知識持ち主人公がいても待ち受ける心折れる未来に読者達は皆阿鼻叫喚。
魔人ブウ編までとゼノバースを少し履修しているぐらいの自分でも分かる
この絶望ぶりにはこう持ってくるのかと当時本当に恐れ入りました。
傑作らしい最後はオールスターな面々のバトルでもって堂々完結し、
毎日投稿作品だったので完結まで毎日の更新を楽しみにしていた日々が懐かしい。
そんなシリーズ総集編の2次創作といっても過言ではないような完成度を誇っていて、
ドラゴンボール好きな方には是非先ず見てほしい傑作です。
コメント
読みました。
よく描ききったな、と思うすごいボリュームですね。無印以前から始めてGTや超の話まで回収してるのすごい。
個人的にはフリーザ編、未来トランクス関連、そして力の大会のラストバトルが好きですね。
チートオリ主であるリゼットが初めて格上に全てを尽くして戦うクウラ戦、地球と仲間たちとトランクスのために散っていった未来リゼット、そして序盤からいつか来ると思いながらもジレン戦でようやく来た悟空とリゼットのあの瞬間、どれもたまんないです。
でも悟飯はもっと活躍させてあげてほしかったなあ(悟飯好き)。
ナノルさんコメントありがとうございます!
悟飯も彼の潜在能力の高さはしっかりクローズアップされてましたね。
オリ主がドラゴンボール世界に完全に溶け込んでいて。
無印から超まで悟空の前に立ち続けた師匠リゼットさんが格好良かった。。