フリーターとして毎日を退屈に過ごしていた和樹は、ある日山の中でとんでもない物を掘り出してしまった。それは銀行強盗が強奪した二億円近い金だった! しかしその金をそのまま使えば、札の番号から足がつく恐れがある。
和樹はきれいな金に変えていくために、様々なマネーロンダリングの手口を編み出していく。最初は数万円単位から始めるが、徐々に金額が大きくなっていき、それと共に、発覚する危険も増してくる。そんな中、和樹は風俗嬢初音と出会い、和樹にとって唯一の心の拠り所となっていく。しかしそれが元で、やくざとのトラブルに巻き込まれてしまう。一方警察の捜査は、着々と金の出所に迫っていた。
二億円という大金を軸に、和樹と初音、刑事とやくざ、そして銀行員が複雑に絡み合うヒューマン・サスペンス! そして結末は……。銀行の意外な思惑が隠されていた!
全45話13万文字完結の現代ヒューマンサスペンスの書籍化作品。
銀行から奪われた生涯獲得賃金二億円を偶然得たらどうやってその金を綺麗にしていくのか。
主人公・警察・ヤクザ・銀行員それぞれの思惑が複雑に絡み合う頭脳戦が繰り広げられます。
新卒で総合商社に勤めたものの四年で辞めて職を転々としてはトラブルに遭って
すっかり働く気力を失っていた主人公和樹は毎日のように山に入り有り余る時間を潰していた。
ある日山の途中にある林の中でキャリーバッグを埋めている謎の人影が見え、
その数日後の新聞に銀行から二億円の現金を奪って逃走した強盗犯を逮捕したとの記事が。
山の中に何かを埋めていたのを発見したのは強盗事件の翌日で、
その数日後に逮捕された犯人のただ一人の共犯は警察に射殺され死亡。
埋められたのが現金二億円であったとしてその金の行方を知っているのは自分だけ。
好都合と掘り出しにいくとやはりそれは現金で難なく自宅に持ち帰ることに成功する。
当初は老後の保険ということにしてタンス預金にしておけば安全と考えていましたが、
二億円を手にした人生逆転のチャンスでそんなつまらない考えなことに嫌気が差して
これをもっと大きな事業の元手にしようと少量ずつ札をきれいな金に換えていく
マネーロンダリングがスタートしていきます。
本作は現金二億円の行方を追う警察との頭脳戦が魅力的に描かれていて、
警察は緻密さと組織力を武器に捜査を行い主人公はそれを上回るような巧妙さが発揮され
別段空想のようなトリックはなく地に足のついた展開がテンポよく進んでいく。
また主人公の事業についても総合商社勤めだったことを活かした、
説得力あるものとなっているので主人公が魅せる成り上がり劇にも納得感があります。
更に本作は終盤の全く予想できない展開が素晴らしく、
遂に警察に追い詰められて果たしてここからどうなってしまうのかと思う中で
まさかの方向から事態が急変していく。
そんなサスペンスらしい不安を誘う中盤から最後には驚かせてくれる良作です。
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— 夜市よい (@yoichi_041) July 19, 2023
銀行から奪われた二億円を偶然得たら
どうやってその金を綺麗にしていくか。
追う警察と逃げる主人公それぞれの思惑が
複雑に絡み合う頭脳戦が繰り広げられる長編完結作品です。
「マネーロンダリング~二億円の行方」
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