PR
なろう小説

何故彼女はこんなにも素晴らしく残酷な絵画を描くに至ったのか「サムヒア・ノーヒア」

サムヒア・ノーヒア
青春 シリアス 現代(モダン) 高校生 学校/学園 絵画 美術

人はどうして思うままに生きられないのだろう。
人はどうして理想的に生きてゆくことができないのだろう。
――人は、どうして、望むままに変われないのだろう。

天より並外れた絵を描く才能を与えられた少女、上木田零子。
だがその代償だとでもいうかのように、彼女は弱かった。
その身体が、ではない。心が、圧倒的に弱かった。
――弱すぎたのだ。

これはそんな彼女と幼馴染たる少年、沖澄栄一郎の、一夏の物語である。

全14話9万文字完結のオリジナル書籍化作品。
天才的な絵の才能を持つが人と同じように生きられず悩む幼馴染の少女を救おうと
主人公が奔走した感動必至なとある一夏の物語が描かれます。

主人公が開催した絵の個展の中にあった見るものを感動させる1つの絵画。
それは真っ暗闇の世界に天から差し伸ばされた救いの手が描かれたその手の上に、
深く穿たれた現実の釘によってその救いを自ら否定する異様な絵。

その絵画は『ここではない何処かへ』と題され主人公の幼馴染みが描いたもので、
何故その絵を幼馴染は描こうとしたのか。そして何故その作品に人は惹きつけられるのか。
真の意味でその裏側にある真相を知った時には心が震わせられること請け負いです。

本作は絵画に疎い自分にも絵の表現力の素晴らしさが伝わる作者の熱量が込められた作品で、
実力では到底敵わない才能を持つ幼馴染が何故主人公の描く絵に憧れるのか。
2人の描く絵の世界の違いがまざまざと残酷なまでに表現されているのが魅力です。
「もっとちゃんと、生きられますように」そう願い続ける幼馴染の描く世界が、
主人公の描く世界と対比させられて読者に悲しさを誘います。
そして本作の魅力は何と言ってもそのエピローグでの結末で、
序盤中盤にかけて描写された幼馴染の持つ苦悩が終盤まさかこうなるのかと読者に走る衝撃が
エピローグでの柔らかな読了感に包まれていく本作の構成は本当に魅力的です。

そんな10万文字以下で纏まっていて読みやすく、
読了後はしんみりさせてくれる名作なので是非一読してみて下さい。

記事紹介ツイート(作品が面白かったらいいねをお願いします!)

スポンサーリンク
シェアする
夜市よいをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました