ポルトガル植民地ティモールの豪農の家に逆行転生した主人公ルシア・ベント。
前世の知識から、故郷に破滅がやって来ることを知っている彼女は、破滅を避け、故郷を独立させるために戦うことを決意した。だけれどそれは修羅の道で。
『我らの屍の上に! 故郷は独立する! そのために! 死ねるか!?』
果たして彼女は、彼女の故郷は、どうなるのだろうか?
全14話完結のオリジナルWW1戦記中編完結作。
植民地に生まれた主人公が史実では破滅が待っている自国を救うべくWW1を戦い抜いていく。
3万文字程度の文字数に、独立という言葉の重さが詰め込まれている大作です。
オーストラリアの真北に位置する1900年頃のティモール島に逆行転生した主人公。
このままではポルトガルによる圧政やインドネシアによる侵攻を経て破滅の一歩を辿る、
自国の運命を変えるべく自分の未来知識を生かして未来を変えることを決意する。
先ずは日露戦争で日本の戦時国債を全力で買い資金を集めると、
集めた資金を元手にアブラヤシのパーム油精製工場で工業化を図り経済成長で地力をつける。
その功績で父はティモールの総督に出世し、父宛ての相談を引き受けているうちに軍隊へ入隊。
そしてWW1勃発直後に国際的な発言力を得る為自分を含めた義勇兵を欧州へ派遣し、
WW1での主人公の独立を賭けた決死の戦いが幕を開けていきます。
本作は序盤は着実にティモールの産業を発展させる平和な雰囲気が描写されていきますが、
中盤以降の「欧州には死にに来た」と語る主人公の悲壮な覚悟の描写が最大の魅力。
自国の発言力は金か血でしか得られず、金がないなら只管の血によって覚悟を示すしかない。
現代社会ではあまり想像できなかった独立に賭けた思いがこの中編には詰め込まれています。
そして主人公の一人称視点で進む本作ですが、
その主人公のセリフと表現が唸らせるものばかりでセンスが非常に良いのも本作の魅力。
一度読むと忘れられないフレーズが終盤の随所にちりばめられています。
同胞を死なせて。敵を殺して。そうして故郷の独立は成る。
私達の屍の上に、我らの旗は掲げられるのだ。
『戦場に! 我らの旗を掲げよ!
我らここに有りと示せ!
我らの誇りを! 喧伝するのだ!
では諸君、行くぞ!』
そんな重いテーマを3万文字で落とし込んで読みやすい、
とてもお勧めな作品なので一読しこの主人公の格好いいこの生き様を是非見てみて下さい。
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— 夜市よい (@yoichi_041) April 26, 2023
植民地に逆行した主人公が未来で破滅する
自国を救うべくWW1を戦い抜いていく。
中編の中に独立の重さが詰め込まれた作品です。
破滅の道を辿る植民地の未来を変えるため、
屍の上で血に濡れた旗を掲げよう
「我らの旗を掲げよ」
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