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やる夫スレ

悪役令嬢に生きるとはどういうことか「できる夫はTS悪役令嬢になるようです」

できる夫はTS悪役令嬢になるようです 目次
できる夫はTS悪役令嬢になるようです:狐板              _. -―――- 、.__            /          `ヽ、           /         ___    \         /      ,...

全100話のオリジナル長編完結作品。
TSした現代人の悪役令嬢が現代知識で領地経営して戦火を駆けていくという、
読者の好きなもの詰め合わせパックを一貫したストーリーでまとめきった大作です。

本作の主人公できる夫は嫌なことが重なり心が腐りかけていた時に、
偶然見た大河系恋愛シミュレーションアニメに映る高森藍子の言葉によって救われるが、
そのアニメの最終話を見る前にトラックに轢かれて死亡してしまう。
そして気付けばその高森藍子と敵対して人を殺し尽くす、
鮮血の令嬢エリザベートとしての新たな人生が始まっていた。
しかし、いずれ悪と呼ばれるのは知っていても何故悪役になったのかは分からない。
そして名乗る名前が違っていてこの世界が本当にアニメの世界か分からない。
なのでこの世界に自分が救われた高森藍子が存在するかも分からない。
そんな何が最善か分からない中で彼女と同じ普通の人々が安心して暮らせるように心に決めて
貴族令嬢として定めた自分の務めを為していきます。

本作で最も印象的なのは第30話でのタイトルのダブルミーニングが判明する所でしょう。
読者にとってはキャッチーで受け入れやすい「TS悪役令嬢」のフレーズが、
何故作中の登場人物すらからも呼ばれるようになるのか。
序盤の終了と共に本編が開始するその狼煙として本当に素晴らしい幕開けでした。
そして原作のエリザベートが追う悲劇が徐々に明らかになる構成も良く、
子がなせねば廃嫡と告げられ主人公を妬み恨む兄ハッカドールとの世継ぎ問題や
愛人マイハに溺れる現当主である父スタンク・ツェペシュの家庭問題。
原作で悪役に至ってしまった謎が序盤中盤にかけて明かされ終盤へと繋がっていきます。

その他にも貴族らしく小洒落た主人公エリザベートの可愛さや、
王家を巡る政治と敵役テューンと義勇の剣劇を始めとする戦闘・戦争描写の濃さ。
そして父スタンクを始め魅力溢れるおっさん達が描写される終盤と、
悪役令嬢ジャンルのポイントを素晴らしくまとめあげられた本作を是非一読してみて下さい。
それにしても読み返したので来るのが分かっていても笑えてくる、
王子アダムのこの倒置法の話し方は癖になりますね…

いただきに来ました。王位を。
しましょうか――――話。

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