【注意事項】
本作は、戦後史上の実在の出来事・政党・団体・企業・個人などを元に構想されたフィクションです
登場する出来事・政党・団体・企業・個人などは、基本的に架空のモノとお考え下さい
本作には、特定の学説や思想信条や業績などの喧伝、あるいは誹謗中傷などの意図はありませんそして、この物語を読んだからといって現代社会や日本史の試験の点数は上がりません
史実を参考にしていますが、実際の史実や現実の世界の事象とは基本的に無関係です
以上を了承して頂いた上で、スレ内で>>1へのご意見ご忠告や自由な議論などをして頂ければ幸いです
あくまで、激動の時代を生きた全ての人々へ敬意を抱きつつ、>>1の想像によって作成された物語であります
この物語を契機として、戦後史への一片の興味を抱いて頂ければ、幸いです
現在は坂上泉名義の小説家となられた作者による本編49話完結のオリジナル長編作品。
シベリア抑留からの帰還兵やる夫が魑魅魍魎渦巻く政治で成り上がる様を描くと共に、
今正に歴史となりつつある戦後昭和史を振り返れる大作です。
今現在では中々想像出来ない戦後の悲惨な状況に始まり、
戦後日本で共産主義が強まった理由や何故あれ程までに安保闘争が強まったのか。
その時代背景や人々の想いをやる夫の特務機関での戦いから触れていきます。
戦後身寄りもない復員兵として食堂で働いていたやる夫は、
兵学校での親友碇シンジが共産主義の幹部運動家として活動していることを知らされて
彼を救うべく所属している国鉄労働組合本部へと内偵を決意する。
そしてシベリア抑留時代に散々叩き込まれた本場の共産主義のやり方で
碇シンジにソ連仕込みの革命闘士にして自分の戦友という信頼を得ることに成功。
後に起こる下山事件という「昭和史最大のミステリー」にスパイとして巻き込まれていきます。
本作は第一部では戦後直ぐの国鉄で発生した過激な労働運動から、
第二部では自衛隊の治安出動寸前まで行った安保闘争から第三部の沖縄返還と、
史実の舞台裏にあったかもしれない過酷な政治闘争を特務機関員の立場から描かれますが
戦後の不穏な空気や当時の社会情勢が良く伝わってくる歴史系作品となっています。
作中示される作者の多数の参考資料にも思わず納得する程完成度の高い一作です。
そして第一部ではただ巻き込まれて利用されるがままに終わってしまったものの
第二部第三部は自分の家族を守る為に暗躍し成長したやる夫と、
沖縄返還に賭けて道を外したやらない夫等各キャラクターの魅力溢れる生き様が良い。
それぞれの熱い信条がぶつかり合って生まれる展開には惹きこまれるばかりで、
特に最終章のやらない夫にはしんみりさせてくれました。
令和の今再読しても首相暗殺事件もありまた違った感想が生まれてくる、
過ぎ去った時代に思いを馳せられる傑作なので是非一読してみて下さい。
コメント