本編22話のモンハン原作長編完結作品。
採取クエストでさえも満足にこなせない底辺ハンターから始まったやる夫が、
周囲に認められる一流のハンターに成長したその過程が丁寧に読みやすく描かれた良作です。
村の家族から放り出されて農夫の息子から新米ハンターになったやる夫は、
ジャギィから逃げ回り採取クエストをこなすことで何とかその日暮らしの生活を送っていた。
その装備を整える貯金をするどころかまともな飯すらも食べられない生活の中、
飢え死にしかけていた同じ底辺のアイルー・タオカカを助けてオトモとすることに。
しかし2人でクエストに挑んでも暮らしは一向に楽にならず、
この状況を変えようと他のハンターとのパーティを組むのも寄生と思われて断られる。
いつか怪我や病気をするが最後野垂れ死ぬ生活にタオカカを巻き込む訳にはいかないと、
先輩ハンターからの儲け話に一縷の望みをかけて乗ったやる夫は案の定騙されてしまって。
この経験から自身が弱いのが全ての原因で強くならなければならないと決心したやる夫が、
周囲から嘲笑される程の努力を始め底辺ハンターから一転し見事に成り上がっていきます。
本作はモンスターハンター世界のシビアな現実が序盤で叩きつけられますが、
この序盤があってこそ中終盤のサクセスストーリーが輝いて見えてきて
読みやすい長さでシリアスからの成長が良いバランスで纏まっているのが魅力です。
苦難があってこそやる夫に親近感が湧いて彼の成り上がりを自分事のように喜べました。
更にモンスターハンターらしくモンスターとの戦闘も一辺倒にならないものになっていて、
大タル爆弾Gにシビレ罠や閃光玉の道具をフル活用していく。
特にグレイモン戦での相手を観察し生態を把握した上で罠を仕掛けた戦闘がお気に入りです。
そしてやる夫が一流のハンターとなり周囲も彼をどん底の評価から見直していくのですが、
その周囲の考えも描かれることで手のひら返しも嫌味に映らなかったのが良いところ。
やる夫も格好良いし周囲の人達も魅力のある良いモンハン世界を楽しめました。
そんな成長劇が本編22話で読みやすく纏まっているので是非一読してみて下さい。
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