もしも脳内に人生の最適解をうそぶく悪魔が存在していたのなら。
これはそんなお話です。
内容はタイトル通りですので気を付けてください
全65話62万文字原作ヒロアカ長編完結作品。
RTAの個性を持ち走者に操られるようになってしまった平凡極まる唯の少女が、
親しくなった人を犠牲にしていく運命から自由になる為に最速でヒーローにならんとする。
全てを切り捨てて勝利を求める孤独な彼女にどんなに拒絶されても信じるヒーロー科達による、
原作乖離した無慈悲なシリアス展開に可愛らしいラブコメを加え揺さぶられ続ける傑作です。
自分に命令してくるRTA走者と名乗る謎の存在の声が聞こえる個性を持った主人公は、
自分をヒーローにさせたい個性を無視し友達と遊ぶ日々を送る中で個性に死ぬと予言される。
彼女はその予言に恐怖して個性の練習を始めて体を鍛え始めますが、
これまで命令を無視し友達と遊んだことで上昇した魅力値によってイベントが発生。
凶悪ヴィランに襲われる窮地の中でRTA走者による彼女の意に反する操作が勝手に始まり、
親友を犠牲にして逃げ出すことで何とか生き残ることに成功する。
そして自分が命令を無視したことで親友を自らの手で犠牲にしたと知ってしまい、
人との関わりを恐れるトラウマを発症し全てを諦め個性の言う通りにする日々が始まって。
RTA走者の言うままに鍛えた彼女は順調に成長して雄英高校ヒーロー科1年A組に主席合格し、
そのまま格が違う実力をヒーロー科に見せつけていく。
人と関わろうとしない彼女を緑谷を始めとする同級生達は心配しますが、
自分が人と関わればその仲間が死んでしまう為に彼女は全ての会話を皮肉と嫌味で一刀両断。
そうしてRTAを完走し自由になる為に崩壊寸前の精神でプロヒーローを目指す彼女と、
拒絶する彼女すら救おうとするヒーロー科達の無慈悲すぎるヒーローアカデミアが開幕します。
本作は何と言っても誰にも頼れず自分を追い詰める主人公ちゃんの個性が際立っていて、
チキン南蛮定食チキンダブルご飯大盛を一人食べている所を見られて恥ずかしがったり
会話が苦手なので徹夜でコミュニケーション書籍12冊を読んで対策を練っていたりと、
ラブコメの甘い展開で主人公の可愛らしい姿を堪能した後に絶望に叩き落されて
更にAFO対面後は不憫可愛いの次元を超え可哀そうという感情移入が止まらない。
存分に愛らしい日常エピソードを挿むことによって絶妙な緩急が生み出される、
正に完璧な構成と演出で我々読者を魅了させてくれました。
そしてRTA小説としてRTAそのものも作品の中心となっていて、
ガバだらけのRTA走者にこれは最早唯のゲーム実況ではとそのコメディに笑っていると
終盤で主人公が個性RTAを使いこなし走者の計算も狂ったことで見事過ぎるRTAが誕生する。
RTA小説ならではのネタを散りばめた最終決戦は面白くその後の壮大さには感動必至です。
そんな主人公ちゃんは可愛くヒーロー達は格好良い、
そして迫り来る無慈悲な展開に心を奪われる作品なので是非一読してみて下さい。
作品外での作者後書きも核心を突く一言が続き作品から我に返らされても面白かった。
コメント
あらゆる行動が結局は走者にとってのゲームの中のイベントに過ぎず虚しいものなのか、ずっとヒヤヒヤしながら読んでたところで、最終決戦の脱却と再生は見事なもので湧き上がりました。
先手を打ってマジに全員救うとかこの展開くらいじゃないともう許せるぞオイ。この記録は何があっても塗り替えられることはないですね、本当。
コメントありがとうございます!
良いように操作してくれやがったこの走者は一体何者なのかが気になりながら読んでいたら最終決戦後は期待の遥か上を突っ走っていきましたね。
2年以上の休止から完結してくれただけで嬉しいのにこれ以上ないRTAのチャートを見せられて感激です。
RTA小説は小説の執筆形式における一つのテンプレとして発展してきたけどこの作品の最終章は世界がゲームであることそのものに意味を持たせたのが一連の作品群においても特筆すべきポイントだと思う。丁寧に主人公を痛めつけるある種芸術的なストーリーラインとそれによって蓄積されたカタルシスを完璧に抹消するどんでん返しも含めて金字塔的傑作と言えると思う。二次創作における自由さみたいなのも感じてすごく好きな作品
コメありです!
どんでん返しはネタバレになってしまうので軽くしか触れられませんでしたが本当にその通りで、原作のストーリーに沿って彼女が最速でプロヒーローになるというだけでは全く収まらない発想の次元すらも異なる最終盤が心から素晴らしかった。
余りにも無慈悲過ぎた展開をRTAらしいやり方で見事に回収しきった作者の技には感謝・感激といった言葉ですらも言い尽くせないものがあります。