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やる夫スレ

超越不可能と思える天才に立ち向かった若き音楽家たち「できる夫のギヨーム・テル物語」

できる夫のギヨーム・テル物語 - Yaruyomi
Yaruyomi でまとめさせて頂いている「できる夫のギヨーム・テル物語」の作品ページです

19世紀初頭のヨーロッパは一人の音楽家によって席巻されていた
イタリアの天才オペラ作曲家、ジョアキーノ・ロッシーニである。
その音楽は至る所で演奏され、喝采され、愛されていた
王も貴族も民衆も、彼のオペラに夢中になっていた
あらゆる栄誉が彼の身に集まり、
音楽家の望みうる全ての地位が彼のものだった
20年近くの間、彼はヨーロッパ音楽界を支配していた
人気、権力、名誉どれをとっても、彼に匹敵する音楽家は存在しなかった

『 ギヨーム・テル 』 
それが、ロッシーニ最後のオペラのタイトルだった

全15話の長編歴史系完結作品。
本作は19世紀前半のロマン派音楽を巡る若き音楽家たちの群像劇となっていて
オペラを全く知らない自分でも作りこまれたストーリーに惹きつけられた名作です。

ジョアキーノ・ロッシーニという19世紀前半を代表するオペラ作曲家が突如発表した引退宣言。
今正にヨーロッパ最高の音楽家としての全盛期の中で何故引退作を発表して引退するのか。
その謎を追って数多くの音楽家がヨーロッパ最大の音楽の都パリに集い物語が始まります。
(タイトルのギヨーム・テルは日本語だとFGO等でお馴染みのウィリアム・テルの表記)

その中のパリに集まった一人、音楽院を卒業したばかりのできる夫が本作の主人公。
ロッシーニのオペラを一目見て「音楽の神にだって、あれより優れたオペラは書けない」
と魅了され、これを超える既存の古典派ではない全く新しいオペラを作るのだと意気込みます。
しかしある日散策中にロッシーニの制作中の楽譜があり見てみると、
その楽譜はこれまで自分が追い求めてきた新時代の、ロマン派の楽譜が既に完成されていて。
できる夫は「もう、何も書くものが残ってはいないではないか」と絶望してしまう。
失意の中で天才歌手御坂美琴と凡人歌手佐天涙子の二人との交流から変化が生じ、
自分達による新しい時代を造り上げていく。

本作はどう足掻いても勝てないと思わされる天才にどう立ち向かうかを
「タンクレーディ」という1つのオペラを通じて描かれているのが特徴的。
数多くのオペラらしい詩的な言葉に人間の生々しい感情を込めて表現されています。

印象的なキャラは乗り越えるべき壁として描かれる天才・ロッシーニ(やる夫)で、
何故彼が引退するのかという謎が明かされ、「ギヨーム・テル」での彼の意志を見ると
造詣が余り深くない自分にも芸術に生きる偉人の凄みが感じさせられました。

学ぶ系スレとしても当時のパリの生活や、古典派とロマン派の違いがよく分かり
面白いストーリーに加え知識まで得ることが出来て素晴らしい青春物語でした。
「走り切れないと分かってるなら最初から走らない方がいい」とはとてももう言えないですね。

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