大谷翔平にポケモンカードで負けたら自殺するしかない - 大谷翔平にポケモンカードで負けたら自殺するしかない(獅子吼れお🦁Q eND A書籍版7/25) - カクヨム
負けられない戦いは、突然やってくる
負けられない戦いは、突然やってくる
1話完結3000文字のオリジナル短編作品。
大谷翔平がふらりとカードショップの小規模大会に現れてその対戦相手となった主人公。
自分の人生を費やしたポケモンカードでさえ大谷に負けてしまったら一体自分に何が残るのか。
ただの大会予選の1勝負の筈が人生をかけた一戦となったその過程が密度高く描き出されます。
本作は嫉妬とかそういう次元を超越した正しく雲の上の存在な大谷翔平が、
目の前に対戦相手として現れたという先ずその発想が上手い。
大谷と出会ってもカードショップでの1勝負という場に落とし込むことで、
ただの1ミーハーではなく男と男の真剣勝負が始まった設定がインパクト抜群です。
そんな開幕から始まった主人公の心情描写も良く出来ていて、
生きる環境を始め何もかも次元が異なる大谷ですが生きてきた時間だけは平等に流れていて、
その限られた時間の多くを費やしてきたポケカで負けてしまったら最早自分には何も残らない。
当然ポケモンカードはただの娯楽でありデスゲームでは全く無いにも関わらず、
敗北は自殺を覚悟する程に全てをかけ大谷翔平に挑んだ主人公に
しっかり感情移入させてくれる丁寧な過去の回想と意気込みの描写が見事でした。
そして自分なら負けた場合を考えサブデッキ使う等の逃げ道を残した上で戦いますが、
その逃げ道を一切用意せず真正面から立ち向かった主人公の矜持が格好良くて痺れます。
そんな主人公の勝負の結末は描写されませんがこの勝負の後を考え込んでしまう、
大谷のネームバリューに乗っかっただけとは言わせない作品なので是非一読してみて下さい。
コメント
これいいですよね。
端的に言うならカードゲーマーの意地って話なんだけど、短い話の中に主人公の葛藤と、自分の人生の自負が詰まってて、戦いに向ける覚悟が伝わってくる。素晴らしい。
ナノルさんコメありです!
大谷と言えば本作だったので先週の6打数6安打3本塁打10打点2盗塁を決めた時に今しかないと投稿してました。
一言も発さないにも関わらず圧倒的な存在感を放つ大谷にも決して負けないと思わせてくれた主人公が良いですよね。
今更ですけどこれ読みました。面白かったです。自他ともに期待していないしされない自分が大谷翔平という偉大すぎる存在に対時して、そこで今までの大した事のない自分の人生だとしてもそこで積み上げてきたものを渡してしまうわけにはいかない。絶対に負けたくない!って強く強く思って、でもそこで出てくるのが負けたら死ぬしかないなんですよね。決して前向きな意思ではないけどでもこれ以上ない、行為に対して客観的にはあまりに過剰な覚悟と矜持。自分と全くと言って共通点の無い主人公なんですけどそれでも何故か心を重ねてしまう
コメありです!
本作のような短編は話題の波に一度乗り遅れるとまた知る機会は中々巡ってこないので機会を提供出来て嬉しいです。
この主人公のように負けたら死ぬしかないと思える程に積み上げたものは私も全くないのですが、それでもたった3000文字で主人公に感情移入出来る見事な描写力でした。