――気が付けば暗闇の中、飾り気のない石の椅子に座らされていた。
深山 夏雄(ミヤマ ナツオ)はダンジョンマスターとなった。理由は定かではない。
自然洞窟に接続されたダンジョンは、まともな生活すら望めない荒れた場所。手を入れねばならないが、現代日本人には酷な話。
自分でできないならば、モンスターにやってもらえばいい。おっかなびっくり、モンスターカタログを開いてみるが……。
敵モンスターの襲撃。呼びたいモンスターと召喚コストの問題。ダンジョン改善活動。
難題は山積み。癒しはモンスター配送センターの受付嬢と、なついてくれるコボルトのみ。
――敵を倒せ。コインを稼げ。新しいモンスターを召喚しダンジョンを強化しろ。
これは、一人の青年がダンジョンマスターとなる物語である。
全207話137万文字完結ダンジョン運営物の長編作品。
作者はやる夫スレでも作品投稿されているババコンガ氏。
突然現代日本から異世界のダンジョンマスターになってしまった主人公。
ただ、何も分からないままでも自身の持つダンジョンコアを狙いモンスターは襲ってくるので
何よりも自身が生き残るためダンジョンの強化に邁進していきます。
敵モンスターを倒すとコインを獲得でき、そのコインを消費することで、
モンスターや罠を購入しダンジョンを拡張していく王道を行くダンジョン運営作品。
本作の魅力は先ず最弱で臆病という一見存在価値が分からないコボルトとの付き合い方だろう。
作中に出てくる「ダンジョンはコボルトからはじめよ」の格言通りに
この世界でコボルトは非常に重要なポジションにいるのだが、
ゴブリンに戦闘力で負け、さらに臆病であるためコミュニケーションすら難しい。
そんな面倒極まるコボルトを主人公が持つコミュニケーションの才能とその人格によって
信頼関係を結ぶことに成功し一気に視界が開けてくる様が面白い。
読み進めると登場するコボルトたちに愛着が湧いてくる筈だ。
そんな何も卓越した知略も戦闘力もない主人公が最弱なコボルトと共に
遂には神も認める偉業を成していくのでその過程を是非一読ください。
タイトルの『決戦世界』にも重要な意味があり、
ダンジョン運営一本ものではなく地球に関連したSF要素も取り入れられているので
単純なダンジョン作品に飽きている方にもおすすめです。
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