【一行で分かるあらすじ】
才能はあるけどコミュ障なポンコツ魔女が、正体を隠して王子様の護衛をする話。【まじめなあらすじ】
天才魔術師モニカ・エヴァレットは人見知りで、人前で喋るのが大の苦手。
そこで彼女は猛努力の末に、詠唱をせずとも使える無詠唱魔術を習得。〈沈黙の魔女〉として、弱冠十五歳で七賢人に選ばれた後は、森の中で静かに暮らしていた。それから二年が経ったある日、モニカに一つの命令が下される。
その命令とは、学園に通う第二王子を、本人には気づかれぬよう秘密裏に護衛してほしい、というもの。
かくしてモニカは王子の護衛をするために、貴族の子女が通う煌びやかな学園へ潜入するのだった。
アニメ化まだかなと思っていたら遂に今月アニメ化発表がなされて歓喜している、
全236話99万文字の書籍化済み長編オリジナル完結作品。
最高峰の魔術師に君臨しているものの人と喋ることが苦手過ぎる人見知り少女の元に、
怪しい動きを見せる王子を正体を隠しながら護衛せよという命令が下された。
そうして頑張って王子を護衛するポンコツ可愛い主人公の日常を楽しみながら、
謎めいた王子の野望と亡くなった父の謎そして一国の陰謀に迫る本格ファンタジーの傑作です。
国内魔術師の最高峰でありこの国の頂点に立つ七賢人の一人〈沈黙の魔女〉の正体は、
気弱過ぎて人と話せないのでしょうがなく無詠唱魔術を極めたという唯のコミュ障少女。
そんな山奥で引き籠り生活を送る彼女に王子を密かに護衛せよという任務が下されてしまい、
何者かの攻撃を受けている王子を護衛すべく名門校への潜入が始まった。
地味なド素人感しかないこの主人公なので護衛がバレる心配はないものの、
彼女は数式と魔術式にしか興味が無いので護衛対象の王子の顔すら分からないミスマッチで
その内実は彼女では王子に近づくことすら到底困難すぎた任務で。
しかし改ざんされた生徒会の会計書類の不備を一瞬にして見破ったことから、
王子が生徒会長を務める生徒会の役員として任命され何とか護衛任務の着手に成功する。
こうして正体を隠し一生徒として王子を護衛する学園生活が始まりますが、
早速招かれた茶会では毒殺されかけたり暗殺者には遭遇したりと波瀾万丈な出だしから、
徐々に友達が増えて当初は絶対に嫌だった学園生活を満喫するようになっていく。
しかしこの友人関係は自らの正体が明らかになれば一瞬にして無くなってしまう儚いもので、
今まで歩んできた魔術師としての自分と学園生活を楽しんでいる自分との狭間で迷う主人公。
そして終盤では何かを企む完璧超人な王子の真意が遂に明らかになって、
これまでの単純な護衛任務から徹底的に避けてきた政治闘争に自分から飛び込むことに。
そんな彼女の成長過程と共に貯めに貯めた伏線が回収され大盛り上がりな終盤が描写されます。
本作は主人公モニカが無詠唱魔術でピンチを回避する戦闘シーンが最初の見どころで、
兎に角小動物的な可愛さが光った日常シーンからのギャップが本当に良く出来ています。
動作のない無詠唱魔術なので王子を助けても自分が助けたとバレることはなく
しっかりと護衛任務を果たしながらも学園生活面では只管にポンコツな主人公に飽きずに、
他のキャラクターの個性も十分に出ていて日常シーンを楽しんで読める面白さがありました。
そして本作で外せないのは何と言っても期待以上なことが間違いない終盤の面白さで、
第13章から王子の企みに王家を巡る陰謀が絡み合う一学園の枠を超えた舞台が広がっていく。
更にそれに主人公の過去が大きく繋がっていたことが判明したことから、
それまで受動的だった主人公が悩み抜き決断したその答えは素晴らしいものでした。
序盤での主人公モニカの可愛さだけでもアニメ1期が十分に楽しみなのですが、
是非ともこの終盤までアニメが放送してくれることを願ってやみません。
本編完結後も後日談となる外伝が大ボリュームで送られて、
一週間以上は本作の世界に夢中になれる傑作なので是非一読してみて下さい。
◇お気に入りエピソード
- ep.193【14ー11】盤外のポーン
- ep.211【15ー13】〈沈黙の魔女〉
- ep.221【16ー5】沈黙を破る時
コメント