力こそ全ての世紀末世界での善とは何か「人工物は善なる存在になりたいようです」

Falloutを題材にした全58話長編完結作品。
善なる存在を目指す世界最高の人工知能と世界最強のミュータントが世紀末世界に誕生する。
善とは何か、その哲学的な問いに対して荒廃した世界を旅して答えを出す過程が描かれます。
とても格好良すぎるクマーが描かれる作品でFalloutをご存じない方でも問題ありません。

核戦争が起きて人類が人類に対して何も期待しなくなった世紀末世界。
研究者が完璧な存在であれと作った人工知能な真紅(V.A.T.S.)は不完全なまま起動すると、
世界最強のミュータント・クマーを連れ出し「善なる存在」を目指す為に研究所の外に出た。
そこで見たのは人間同士が殺し合う様子で善行を積もうにも自分は化け物として迫害される。
彼らは諦めず旅を続け自分と同じ「善なるもの」を目指すエンクレイブという組織を始め、
エイリアンに悪魔そして自分達の開発者と出会い過去を知り因縁の最終決戦に挑んでいきます。
絶対的な善は存在しない中で「善なるもの」を目指した彼らの納得いく答えをお楽しみ下さい。

本作はどこまでも合理的なAIの真紅にアメリカンジョークを嗜むクマー、
この好対照な主人公2人のキャラクターの魅力が素晴らしい作品となっていて、
最初は片言しか喋れなかったクマーがとんでもなく格好良くなり
人命の価値が低い荒廃しきった世界でウィットの富んだ会話劇が楽しめます。
更にストーリー構成も旅の目的である「善とは何か？」をとことん追求し、
旅の途中で様々な困難に直面し善悪の基準に悩みながら答えを出していく芯の通った作品です。
本作では特に中盤でクマーが言い切ったこのセリフがお気に入り。

「じゃあ貴方は何に基づいて行動しているのかしら。」

「古臭い倫理観とカビの生えた道徳かな。
汚れていても、私はそれを求めたいと思うよ。」

そして原作を本作に合うように改変した最終決戦では、
痺れるアクションと遂に見つけ出した答えが調和した壮大なものを見せてくれました。
そんな本格的な作品となっているので是非一読してみて下さい。

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善なる存在を目指す世界最高の人工知能と
世界最強のミュータントが世紀末世界に誕生する。
善とは何か、その哲学的な問いに対して
二人が荒廃した世界を旅し答えを出す過程が描かれます。

「人工物は善なる存在になりたいようです」 https://t.co/7GNFLED8Yg
— 夜市よい (@yoichi_041) March 31, 2024