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小説家になろう

1日毎に記憶がリセットされる小説家による心温まる傑作執筆談「僕は僕の書いた小説を知らない」

僕は僕の書いた小説を知らない
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1日ごとに記憶がリセットされ、新しいことを覚えられないという症状を抱えた小説家の「俺」は、それでも過ぎていく日常のなかで足掻く。

可愛い女の子と出会っても、小説を書き進めても、そのすべてを明日には忘れてしまう。


昨日の記憶を持たない「俺」は、そんな状況のなかで恋をすることが、小説を完成させることができるのか?

全35話11万文字の書籍化済みオリジナル長編完結作品。
記憶が1日しか持たない主人公が自分の記憶の代わりに最高の物語を遺そうと、
消えゆく記憶を一つ一つ積み重ねて小説へ刻んでいく。

しかし覚えていない昨日と明日になれば消えている今の自分で一体何が出来るというのか。
揺さぶられ続ける展開に苦しみながらも格好良い主人公が心に残る大作です。

見覚えがないスマホのアラームに叩き起こされ帰った筈のない家に帰っていた主人公。
パソコンを立ち上げて『俺へ』というテキストファイルを読むと、
自分が記憶が一日しか持たず翌朝起きると全て忘れてしまう病気にある旨が残してあった。
新しく覚える必要がある普通の仕事は不可能となりこの病気になる前の小説家として、
小説を書いては忘れて翌朝読んでは続きを書き続け完成させた小説で生計を立てる他はなく。

そんないきなり突き付けられた現実に途方に暮れる主人公の前にあったのは
既に5万文字を超えている自分の書いた覚えのない小説ファイルで、
これまでの自分たちはそんな状況の中でも自身がいない未来の為に小説を書き続けていた。
そうして過去の自分達に勇気づけられて、
「失ってしまう記憶の代わりに最高の物語を残したい」と語る主人公の挑戦が始まります。

本作はどんな困難に見舞われても立ち上がる漢らしい主人公が格好いい作品で、
記憶の連続性がなく一日毎に死んでいるような主人公が決して諦めることなく、
自分ではない自分の為に毎日を綴ることで自分だけ置いて明日へ進む世界へ抗っていく。
主人公の小説に賭ける覚悟が読者にまざまざと伝わってくる描写が本作序盤の見どころです。
そして中盤以降はそんな主人公を支える彼の妹や友人達と、
何よりカフェで働く彼女の温かさに触れてから訪れた最終盤の大どんでん返しが見事でした。
そんな読みやすい11万文字に伏線を始め内容が詰まった作品なので是非一読してみて下さい。

数年前にKindleで購入していたのですが今Amazonを見るとKindle版が無くなっていた。

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