帝国軍人としての日々と、最愛の妻、ターニャへの惜しみない愛を綴る。
全ての帝国国民と、執筆にご協力頂いた多くの友人ならび国家に感謝を。
統一歴一九六二年。ニコラウス・アウグスト・フォン・キッテル。
幼女戦記原作の全80話60万字完結長編作品。
帝国空軍を強力無比な軍隊に一変させた主人公による原作らしい本格的な戦争描写に始まり、
原作主人公ターニャ・フォン・デグレチャフとのお似合いなカップリングが見れる良作です。
代々武功を重ねてきた陸軍軍人貴族の家庭に生まれた主人公ニコラウスは、
家族の期待に応え士官学校を好成績で卒業し配属された近衛槍騎兵連隊で訓練に励んでいた。
そんな中に訪れたのが航空隊員の募集で嘗て空を自由に駆ける航空魔導士達に夢を見た主人公は
これに応じ近衛のエリート街道から誰もが先がないと断言する陸軍航空隊に転属することに。
現状では航空機は魔導士に容赦なく撃ち落とされるただの空飛ぶ棺桶に過ぎず、
陸軍中将の父親からは軍はお前の遊び場ではないと激高され家から勘当されてしまう。
それでも空軍を第二の我が家と覚悟し国境地帯の小規模戦闘で対魔導師航空戦闘を確立すると、
魔導士から空の王冠を奪うと豪語して魔導師三六名を撃墜し撃墜王として君臨。
それから軍大学で戦略を学び空軍総司令部付きの佐官に昇進した所で、
遂に原作の協商連合軍によるノルデン地方への侵攻を契機として史上最大の大戦争が開幕する。
戦場で愛機を駆る主人公に砲撃観測手デグレチャフ少尉の救援要請が届き、
自爆した彼女と主人公が出会うことによって航空機によるまた新たな原作が始まっていきます。
本作は先ず原作とは次元の違う成長を遂げた帝国空軍による新しい世界大戦が序盤に描かれ
素人から撃墜王にまで上り詰めて正しく空軍の屋台骨となった主人公による、
原作ではどうしても影が薄い航空機の大切さが良く分かる作品となっています。
そして本作最大の見どころは共和国軍がブレストから撤退し終戦が泡と消えた原作が一変した
中盤「39 赤黄色作戦」で空軍を独断専行で動かすに至った主人公の経緯。
主人公は少年兵達が平和な世界を謳歌出来るようにするという誓いを行動に移し、
デグ様は彼女らしい打算の関係から遂にデレた描写がとても本作で素晴らしかった。
恋する可憐な少女らしい姿を見せてレルゲンをびっくりさせたかと思えば、
自らの保身を考えず主人公を救う為に参謀本部に殴り込んだデグ様の一面を是非ご覧ください。
このドキドキな中盤が幼女戦記最新14巻の熱い展開を思い出します。
暫し待つと、背後から声をかけられた。誰あろう、フォン・レルゲン参謀大佐だ。
「失礼。ここは中央参謀本部勤務者の宿舎でありますが、ご家族をお待ちで?」
「エルマー技術中将が、貴官と同じ顔をして踏み込んできた。身内であるが故、当然と思った。次に、エップ空軍総司令が足を運んだ。目をかけていた部下故、当然だと思った。貴官は三人目だが、ああ、ノルデンで救われたのだったな」
オリ主とデグ様が男女の間柄になったり彼女が完全に女の子になるのでNGな方は注意ですが、
彼女に相応しい格好いい主人公が描写されますのでターレル派にもご満足頂ける筈。
そんな序盤の原作らしい本格的な戦争描写と可愛いデグ様が見れる大作なので
是非気になった方は一読してみて下さい。
コメント
デグ様メス堕ちと幸せな戦後という不可能事2つを実現させるために、オリ主とその家族をありえないレベルで盛りまくった作品。
コメありです!
仰る通り特徴が突き抜けている作品で、
作者様の描きたい主人公像はしっかり序盤で伝わってくるのでその主人公が魅力的に映るかどうかが鍵な作品ですね。