何年も前に書いて放置していたのを再構成した物。
固有魔法・脳内麻薬術式とかいうのを持った生まれも育ちも不幸な少女が501で頑張るお話。
ハッピーエンドになればいいよね。
全53話41万文字の長編ストパン完結作品。
過酷極まる環境で戦い続け軍籍を抹消された主人公が新人として501統合戦闘航空団に加入。
最早全てを諦め惰性で生きる彼女は必要とあれば躊躇いなく自分の命を捨て続ける一方で、
あんまりに残酷な過去と生きる環境に原作キャラの心は痛まっていく。
そのギャップを中心に据えて主人公の終着点を描き切った曇らせ好きな方にお勧めな作品です。
上層部の隠し子であった為に死亡前提の最前線の基地に放り込まれ戦い続けていた主人公は、
それを見た坂本美緒に助け出されたことで501統合戦闘航空団への加入を果たす。
そしてその事実の発覚を恐れた軍によりこれまでの軍籍を全て抹消されたことで
撃墜数100超えのエースにも関わらず宮藤芳佳と同様の新人として501で戦っていきますが、
彼女の心身は固有魔法の脳内麻薬術式の濫用により安静にしていても余命2年のボロボロで。
それ程までに身を削る戦いをずっと続けてきたのにも関わらず、
その過去は全て見知らぬ誰かの功績となり501加入後も上層部からの妨害を受け続ける彼女に
ミーナを始めとする501のウィッチ達は同情し涙を流す。
しかし対する主人公自身はそんな過去をどうでもいいと切り捨てて全く意に介さず
残り短い人生を501の人達の為に使い果たす気満々の異常者だった。
そんなお労しい主人公の無茶を原作キャラと一緒になって見守って心を痛めながら、
アニメ一期からROAD to BERLINまでの彼女の戦いを追っていきます。
本作はハッピーエンドの原作にとんでもなく可哀そうな主人公がぶちこまれているのが特徴で、
特異な能力を持ったオリジナルネウロイも登場する過酷な難易度となって501に立ち塞がる。
それに対抗するには脳内麻薬術式を使用せざるを得ず更に主人公の寿命は短くなり、
良い人ばかりな原作キャラクター達の感情は曇っていくばかりという構成となっていて
中々摂取出来ない曇らせ成分を存分に堪能できる作品となっています。
その曇らせは501に留まらず502にまでも広がっていきますが、
一番好きなのは本編のラストであそこまで曇らせを描き切ってくれたことに感謝です。
その曇らせに曇らせていく本作ですが曇らせる主人公のキャラもしっかり立っていて、
主人公の自己評価が限りなく0に近いために他人を助けて死地に追い込まれ地獄を見ても、
「私のせいで心配をおかけしてすいません」と返せてしまう異常者っぷりが際立ってました。
どうして主人公がこんなことになってしまったのかと諸悪の根源を恨む気持ちが止まりません。
そんな曇らせる側も曇る側のどちらにも感情移入出来る魅力的な作品となっているので、
曇らせ好きの方は是非一読してみて下さい。
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