21世紀の終わり、世界のあちこちに穴が開いた
やがて穴の中から、たくさんの巨大生物……
通称『怪獣』が現われ、絶望と恐怖を振りまいた
人類は生存範囲を追われながらも、各国、企業が協力し人型汎用兵器『モビルスーツ』を開発
その力を持って、地上から全ての『怪獣』を駆逐し逆に穴の向こうへと追いやったのである
それから50年後――
現在7スレ目・最終第4章量産狂騒曲が連載中のオリジナル長編現行作品。
人類の総人口が1/10となった末期的な世界で使い捨て前提な量産品兵士のやる夫が、
妹を救う治療費を得る為の戦いの筈が謎が謎を呼ぶ闇の深い展開に巻き込まれていきます。
「やる夫は量産型に乗るようです」ではなく「やる夫は量産型のようです」が相応しい
謎に包まれた世界観が少しずつ明らかになっていく序盤に惹き込まれる作品です。
異世界の怪獣達の出現によって人類の生存範囲が限りなく縮小してしまった世界。
主人公のやる夫は難病の妹、楪いのりの治療費を稼ぐ為に、
これ以上怪獣達が現実世界に現れないように戦うMSパイロットを志望し
初陣で9割が死ぬ過酷極まりない戦場へ足を踏み入れることに。
そんな戦場で敵の怪獣のビームで即死したやる夫は気が付くと何故か時間が巻き戻っていた。
自分だけ死に戻って敵の出現場所や時間・規模が分かるというレーダー要らずなその力で
ジェガンクラスのMSが普通の戦場でジムⅡを駆って着実に戦果を稼いでいくやる夫。
その慣れつつあった生活に舞い込んできたのがテロリスト殲滅作戦への参加要請で、
そこで読者達の世界観も一変させる衝撃的な光景がやる夫を待ち受ける。
町の外に帰ろうとしたパイロット達は隠密裏に処分され、
妹のために戦ってるはずなのに妹を含めた家族とは誰とも連絡が付かない。
全く信用出来ない企業達の秘密と死に戻りに関係する一ノ瀬志希は何者なのか。
その深まるばかりの謎が進むにつれて明らかになっていきます。
本作はそんな先ず序盤は兎に角深い世界観が特徴的で、
この末期的な世界の真の姿が少しずつ解明されていく感じが堪らない作品となっています。
そして世界観が分かってきた中盤第3章では拠り所を失って心が擦り切れたやる夫による
これまでとは打って変わった夢も希望もないやりたい放題っぷりは読者をびっくりさせ、
現在連載中の最終章ではそれまでの伏線が綺麗に回収されます。
序盤で印象に残ったシーンは仲間のアンチョビの家族が判明したシーンで、
まさかあっちだとは思わず完全に騙されました。
後は第三章後半で完全に冷え切った佐々木との関係が他の作品では中々見れず好き。
「地獄に堕ちろ」「精々無様に死んできてよ」とまで言われても全く動じなくなった、
余りにも過酷な設定によって純心さが失われてしまった我らがやる夫さんをご覧ください。
またアクアビット社長のアクアを始めこのすば勢はハマり役の清涼剤だと思っていましたが、
最終章ではコメディキャラのままではいられず果たしてどうなってしまうのか。
終わっている世界の結末を楽しみにしています。
この兎に角惹き込まれる1話は10分で設定考えて作られたらしい…すごい…
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