アラフォー女子(未婚・歴女)が、お約束のトラック事故で転生。
前世の記憶を持ったまま幼女に転生したと思ったら、転生先は異世界ファンタジー世界ではなく「戦前の日本」。
それでも華族にして財閥の家に転生したのでイージープレイと思いきや、記憶を辿るとその世界は彼女がよく知る乙女ゲームの再現世界かもしれなかった。しかも彼女の転生先の体は、お約束の『悪役令嬢』。
その上、『悪役令嬢』でなかったとしても、このまま歴史が推移すれば戦争で日本は敗北して華族(貴族)にして財閥である彼女の家は破滅する未来が待っている。
「太陽帝国の扶桑かつみ氏の作品」というと、
架空戦記界隈に詳しい人は有名な方ですのでピンとくる人も多いのではないでしょうか。
太陽帝国では歴史を語っていく構成が特徴的な扶桑かつみ氏ですが、
本作では悪役令嬢に転生した少女の一人称の形式の小説で小説家になろうに投稿されていて、
氏の数々の作品の入り口としてこの作品が非常に入りやすいものになっています。
扶桑かつみ氏がなろうで小説を書いていると知った際に非常にびっくりしましたが、
読み始めると本当に読みやすい第二次大戦の架空戦記になっていました。
架空戦記に興味のある方そして「現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変」を読まれている方には非常にお勧めな作品です。
主人公は関東大震災の日に前世の記憶が戻り、ゲームの再現世界であることに気づきます。
その世界であるならば主人公は必ず第二次世界大戦直後に死亡するBAD ENDになることから、
BAD ENDを回避すべく動いていく…というと通常の悪役令嬢ものですが本作は一味違います。
なぜならこの場合のBAD END条件が第二次世界大戦での日本の敗北であり、
主人公が生き残るためには日本の敗北の歴史自体を変えていかないといけないため、
そんじょそこらの悪役令嬢とは背負っているものが違う。
ラスボス(アメリカ)が強すぎるこの第二次大戦で現実の歴史を知っているのは主人公のみ。
当然ながら国力差は圧倒的な現状でその知識のみでどこまで歴史を変えられることができるか。
悪役令嬢の一国を越え世界を舞台にした悪あがきをご覧ください。
コメント