売れない少女漫画家のあたしが、なぜか萌え絵師を目指すことになりました。それもこれも、本業は格調高い純文学の大作家先生が気まぐれにライトノベルをお書きあそばされやがったおかげです。スイマセン今からでもこのオシゴトお断りするわけにはいきませんか。
売れない少女漫画家の主人公は漫画家を志してはいるが、
ストーリー構成が致命的に下手なのでコンビニのアルバイトで食いつなぐ日々。
そんな日々を送っていたところ主人公の描いたカット数枚が、
以下のようなことを仰られている作家の大先生に気に入られてイラストレーターに任命される。
曰く、最近の若者は高尚な文学を毛嫌いし惰弱なモノばかりを好む、これはけしからん、これは幼少の頃より良き物語に触れていないためではないのか、ならばこの私が一肌脱ごうではないか、ライトノベルを装いつつも深遠なる純文学の片鱗をキラリとちりばめた良質の若者向け大衆小説を書いて進ぜよう、とな。
そんな大先生のライトノベルを読んでみると純文学に不見識な主人公が号泣するほどの名作。
思わずその感動のままに作り上げたイラストは、作家の大先生に
「完成原稿は誤字ですらミスのなかった私に、本文そのものの修正をさせたんです!」
と言わしめる程の出来で続巻以降は最初から主人公を求められ大先生との交流が始まっていく
本作は先ず非常に読みやすい恋愛小説で、
全4冊の出版を通じて親密になっていく大先生と主人公の関わりの変化が丁寧に描写されている。
また主人公と大作家先生それぞれの個性が魅力的に書かれているので
この二人の恋愛の結末が気になりページがすらすらと進んでいく。
そして一気に大先生によって日常から別世界へと引き込まれた主人公の動揺ぶりと、
大先生から与えられる数々の難題に対するセンスある主人公の回答が面白い。
気に入られた方はシリーズもので外伝も連載しているので、是非外伝も読んでみてほしい。
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