
全36話あんこスレオリジナル長編完結作品。
戦国時代モチーフ架空世界の武田勝頼ポジションにモードレッドを配置。
偉大過ぎる父の死によって崩壊の一途を辿る家中でよわよわな姿を見せるモーさんは、
亡くなった父に忠誠を誓う危険すぎる本作主人公を使いこなすことが出来るのか。
この窮地で輝くモーさんがとても可愛い本格戦記作品です。
ダイスの結果策略が得意の一途で正直者な剣豪という何一つ噛み合ってない主人公澤永泰介は、
主家ペンドラゴンの柱にならんと初陣で一番槍に志願するも何も出来ずに病床送り。
そして自分が情けないと悔やんでいた所に主君アルトリア直々のお言葉を賜ったことで、
そのカリスマに人格が灼かれ自らの全てをアルトリアに捧げる狂信者に変貌を遂げる。
これまでその圧倒的な個人武勇を皆無過ぎた将才で腐らせていた所を
名将アルトリアが道具として適切に用いることで主人公は連戦連勝し将軍にまで出世を重ねて
国内唯一の湾港都市を任せられるまでに重用され黄金の時代を迎えるペンドラゴン家。
しかしこのペンドラゴン家は武田家ポジションなので軍神とまで称されたアルトリアは病没し、
後継者として指名されていた嫡男はアルトリア病没直前に戦死してしまう。
残されたのは齢3つの子とアルトリアの遺言で一切の相続が認められなかったモードレッドで、
そんな突然消去法で国の代理人となってしまった彼女に待っているのは、
余りにもカリスマ過ぎた父親から何も期待をされず弱小な権力しか持たない自分に割れる家中と
既に死んだアルトリアに忠誠を誓う抜き身の刀そのままで危険すぎる主人公。
ここから本作のタイトルに示されるよわよわでだめだめなモードレッドの奮闘が始まります。
本作はこのタイトル通り良い子だったモーさんが時代とどうしようもない運命によって、
本当に可哀そうな場面が連続していくその様子を悲しみ楽しんでいく作品となっています。
このモーさんの不憫すぎる姿を見て楽しみたい方は非常にお勧めです。
そして本作はあんこスレなのであくまでもダイスによって彼女の運命が決まっていきますが、
最初から最後まで一貫した方向で予想できない超展開の数々を披露したダイスが素晴らしい。
最後までダイスさんの展開には楽しませ続けれられましたが、
一番印象的なのはやはり終盤のドラミと士郎。ダイスが良い仕事をし過ぎていました。
そして作者のダイスによる超展開を説得力ある描写に落とし込む技は本作でも健在で、
スリル溢れる戦争を見たい方も戦争描写がとても巧みなので是非一読してみて下さい。
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