死神を食べたらどうなるんだろう。
私には良く分からない。分かるのはたった一つ。
お腹がすいた。
だから、こいつらの首を持って偉い人に届けよう。
きっと美味しい物が食べられる。
さぁ、準備が出来たら出発だ。
大凶作とそれに乗じた隣国の経済封鎖による不満から内戦が勃発。
主人公が住んでいる村も襲撃されて殺されるその瞬間、蹂躙者に「死神」を見る。
そんな死神を思わず食べたことから始まる、死神少女の末期戦奮闘作品。
本作は巻き込まれることになる自国の末期戦ぶりがとても良く描写されていて、
主人公が孤軍奮闘するも所属する国家の腐敗によって情け容赦なく追い詰められていく。
この主人公最強ものの爽快感とスリルある展開を両立させているのが素晴らしい。
敵軍相手に暴れまわる主人公のキャラクターもこれ以上なく立っており、
「敵を殲滅すること」「食べること」以外は興味ない主人公が本当に個性的で惹きつけられる。
主人公以外にも中盤以降変貌を遂げるヤルダーを始めとする憎めない濃いキャラクターたち、
そして名無しのキャラクターとの約束を守っていく展開には胸が熱くなる。
こんな全く自分とは違う人格破綻型主人公を思わず応援してしまう作品は本当に少ない。
さらに何といっても作中終盤の要塞を巡る怒涛の展開には目が離せない。
作者に振り回されていく自分を実感しますがそれがまた楽しくなってくる。
この紹介を見て読んでくれた方で最終話の3つ目の戦う理由がもやっとされたら、
2013/7/13付近の感想返しを是非見てみてください。
確かに…と皆さんも思ってくれる筈です。
本作の副官カタリナさんを始めとするキャラクターについては、
作者の同世界線での別小説(勇者)でも関わりがあるので本作との意外な繋がりも。
それにしても書籍版の表紙が本当にこれ以上ないほど似合っている…
コメント