できない夫は本を作るようです | Page 1 | やる夫を拾い読み
小説のやる夫スレ化に定評がある「◆8epcM/V4rs」氏の全22話の長編完結作品。
今回元となった原作は大崎梢のクローバー・レイン。
読み終わると優しい雨が心に染み渡っていた一作です。
大手出版社の千石社に勤めるできない夫は、
原稿のボツを作家さんに直接伝えなくてはならないという
望んで就いたはずなのに気が滅入る編集者の仕事に悩んでいた。
そんな日々を送っていた折、「どうしても本にしなければ」と思える原稿に出会ったことから
社会の様々な困難を乗り越えて一冊の本を作るために奮闘していきます。
一冊の本を作る話でここまで爽やかな読了感になるのかと思えたのが読み終わった第一印象。
あらすじしか出てこない「シロツメクサの頃」に主人公のみならず読者まで心を動かされる。
社会に存在する様々なハードルの乗り越え方も、
必要とあらば仲違いした後輩にも本気で頭を下げる主人公も、
上司のダディを始めとする人の善さが隠し切れてない他キャラクターも、
どの描写も恰好よく、世界に惹きこまれます。
全体的に困難が続いていく重めの展開が続いていきますが、
終盤は成長した主人公のこれまでの積み重ねによる圧巻の巻き返しまで是非読んでほしい。
今回数年ぶりに読み返したが、数年前と全く同じ下記セリフで心にきた。
読んだうえで、せいぜい気取ってくそみそに貶してやろうと思いました。
そしたら、これが困るくらいに良いときてる。
ずるいじゃありませんか、こんなの出してくるなんて。
これじゃ、僕がただの馬鹿野郎になってしまう。
素晴らしい原作を書いてくださった大崎梢さんに感謝と共に、
やる夫スレでないとこの原作とは出会わなかったので、
「◆8epcM/V4rs」とまとめサイトさんに感謝です。
コメント
読み終わりました。面白かった!
色んな現実的な困難を通じて、純情なエゴイストが本質を変えないまま成長していく流れが素敵。
他にもいいシーンは多かったけれど、やっぱり記事に出てた台詞が一番ジンと来ました。
最初に彼のシーンがあったことは決して無駄じゃなかったと思わされた。
読了コメントありがとうございます!記事を書いた甲斐がありました😍😍
こちらも引用ですが、この作品自体がこれを体現していますよね。
「本は特殊な商品です。数年後の誰かのために、その人を感動させるために今、種を蒔いたり水をかけたりする。
そんなことがほんとうにありえる世界なんです」