現代日本を舞台にした本編7話のオリジナル中編完結作品。
強制された嘘告白によって嫌われ者なやる夫と付き合うことになってしまった翠星石と、
そんな彼女に対して美少女と付き合えることになって大喜びなやる夫。
この歪な関係から始まった2人の交際模様がとことん魅力的なキャラ描写によって描き出され、
甘い展開だけではない緊張感ある展開と相まって青春の良さが味わえる良作です。
やる夫スレの本格学園恋愛ものでは先ず本作が出てくる代表的な作品となっています。
高校デビューに失敗していつの間にかいじめを受けるようになってしまい毎日が憂鬱な翠星石。
そんな彼女は同級生に追い詰められて嫌われ者のやる夫に向けて嘘告白を強制され、
その告白を大喜びで承諾したやる夫と付き合うことになってしまう。
しかしやる夫と付き合ってみて彼の過去や内面に触れると実は彼は素晴らしく良い男で、
何時か嘘だと暴露して終わらせる関係の筈が徐々に彼に惹かれていくことに。
やる夫もやる夫で何処か元気の無い翠星石を必死に楽しませようとしますが、
そんなやる夫に遂に自覚した恋の感情と嘘告白をした罪悪感の狭間で悩み続ける翠星石。
この両者の恋の模様が予想以上となった結末となって読者を魅せていきます。
本作はやる夫と翠星石2人の魅力をこれ以上なく描写されているのが特徴的です。
嫌われ者にも納得なやる夫のダメダメな一面と気弱過ぎた翠星石の一面を見せた序盤から、
読者の評価を一転させるに至った色々と失敗しつつも彼女のことを考え続けたやる夫と
やる夫に心を開いたことで我々読者が知る毒舌な面も見せながら笑えるようになった翠星石。
一から着実に成長していって愛着が十分に湧いてくるキャラクターがとても良い作品でした。
そしてストーリー展開も可愛い翠星石の描写が楽しめるだけではなく、
噓告白という最初の始まりが楔となる山あり谷ありの展開が凝縮されていて
途中ダレることなくエンディングまで一気に読み進められる。
本編が終わった後も番外編4でのやる夫視点を見ると彼の裏での奮闘ぶりにしんみりさせられ、
甘いだけではない苦味もあって且つ青春を感じられると書籍化も納得な完成度となっています。
そんな素晴らしい青春の恋物語を是非一読してみて下さい。
作者白饅頭シリーズ第二作目の雪華結晶と白饅頭なロボットもめっちゃ好きです。
コメント
やる夫スレ全盛期から名前は知ってたけど、書籍化きっかけで読んだなあ……。
翠星石視点で描かれる甘酸っぱくも苦しい恋愛がいいんですよね。
中編、書籍も2冊でまとまってるから気軽に読み返せるのもありがたい。
ナノルさんコメントありがとうございます!
甘さも苦みもある中で期待以上の結末を見せてくれたのが素晴らしく、
本当にこの長さでストーリーが良く纏まっている作品でした。