本編43話36万文字長編完結作品。
悪を倒す代わりに主人公の友人達を失う結末となった原作アークザラッド2。
その世界に転生した男が原作主人公の目の前で自爆させられた少女を救うべく、
嘗ての友であった原作主人公の敵となってでも定められた運命を捻じ曲げる。
原作未読でも問題ない一人で世界を相手取って戦い切った主人公が格好良い作品です。
白い家と呼ばれるキメラ研究所に転生し原作主人公組3人と友人となった主人公クドー。
その後に友2人は研究所からの脱走に成功し外の世界で生活しているものの記憶を失っていて、
面倒を見ているもう1人の少女ミリルは研究所で一向に意識を取り戻さない。
原作では記憶を取り戻した原作主人公エルクがミリルの救出に向かいますが、
このミリルは洗脳されていて何とか正気を取り戻した瞬間に自爆装置を作動させられ死亡する。
さらに記憶を失った友人もキメラにされて亡くなる運命が待っていて、
このままでは転生してたった一つだけ築き上げられた彼らとの友情が完全に消え去ってしまう。
この白い家で一緒に暮らした4人が大団円を迎えられる可能性は既に無く、
ならば全てを知っている自分が犠牲になることで友人達を救うしかない。
そうして原作主人公エルクを裏切って諸悪の根源たるガルアーノの右腕として悪を為し、
来たるその日までひたすら舞台を整えて全ての始まりの白い家での最終決戦が幕を開けます。
本作はそんな友の為に友を裏切る覚悟を決めた主人公の貫き通した生き様に惚れる作品で、
自分の正体を隠してでも何も意味を為さない戦闘を吹っかけて邂逅した嘗ての友に対して、
戦いの中でつい耐えられず口に出してしまったこの一言には燃えました。
この15話からのラストスパートが本作最大の見どころでしょう。
「なぁ、エルク」
「何なんだよ、てめーはっ!」耳の奥まで通るような声を引き金に、俺はつい、口に出してしまった。
「お前、元気か?」
「…………はぁ?」
記憶を取り戻したエルクが救おうとしてやっと会えた主人公は悪になっていて信じられず、
主人公も自分の目的を果たすまでは絶対に原作通りに進んでもらう必要がある為に騙し続ける。
このすれ違いが解消されて遂に主人公の計画が実行に移された最終決戦がたまりません。
その燃えた結末の後逃げ切ったと思ったらそうは問屋が卸さない第二部も良かった。
そんな是非読んで頂きたい傑作で原作未読の方も最初世界観に戸惑いますが慣れると大丈夫。
原作のあらすじを知りたい方はこちら(ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki)
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