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あいとゆうきのおとぎばなしが過去となる前に。「BETA戦争の裏側 社霞追悼号」

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粗筋 
 社霞は逝去する間際に、『オルタネイティブ4 白銀武の存在とその世界』を執筆し、密やかに自費出版した。これはBETA戦後50年が経った今、社霞が最後の生き証人として語った衝撃の真実を記載した著作であった。
 この書籍はすぐに自費出版の枠を超えて増刷され大々的に注目を集めることになるが、それは二つの側面をもっていた。
 因果律量子論はすでに香月夕呼によって自己の命もろとも葬られていたため、その存在は世間に知られていたが、空想性の強い理論でほとんど哲学の領域であったことからも、世間からはトンデモ話として認知されていた。この因果律量子論に関する可能性という理論的興味がまず一つである。
 次に、白銀武という存在がBETA戦争の舞台裏で奇跡を起こしていたのだという、史実と照合する意味での歴史的興味である。社霞はこちらを重視していたことからも、内容としてはほとんどドラマチックな悲恋物語として大衆受けし、映画化も決定しているとの話である。
 とにかく色々と世間を騒がせたこの著作を、社霞と知り合いであった人物が読み、この著作を主軸に据えながら社霞という人間存在を明らかにしていこうと試みた。

マブラヴ原作後日談の全4話短編完結作品。
タイトル「社霞追悼号」に相応しい涙が誘われる一作ですが、
社霞の思いが分かる原作既読者向けです。

BETA戦争終結から五十年、社霞は死の間際にオルタネイティブの真実を後世に伝えるため、
『オルタネイティブ4 白銀武の存在とその世界』という本を自費出版した。
そこに記載してあったのは後世で「妄想科学」のレッテルを貼られた因果律量子論、
香月夕呼への不当な評価や聖女そのものと思われていた自分自身に対する告発で。
その遺作を読み衝撃を受けた彼女の知人が、
社霞が何を語り、何を思い、何を苦しんでいたのか、
戦後の社霞という一個人を追っていきます。

本作は白銀武も消失し香月夕呼博士も因果律量子論と共に居なくなってしまった戦後で
社霞がどのように生きてきたかが本当によく伝わってくる一作となっていて、
書き手が原作キャラではない無名であるからこそ描写に浮き出る社霞の内面が際立っています。

また因果律量子論の記載も見事で、香月夕呼以外には決して証明出来ず、
またその現実性のなさ故に一笑に付され信じられていないその理論をガリレオになぞらえ、

「それでも因果は決まっている」

と締めたその一言は本作でとても印象的。
そんな短編4話の中に社霞の戦後が詰まった一作となっているので、
彼女を知っている方は是非一読してみてください。あがー。

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