下記雑談所スレ2898-4361から開始し専スレに移行。
まとめサイト無しでエターとなった為知名度は低いのですがとても好きな作品。
幼女戦記を思わせる架空世界に転生し戦時下で様々な工作活動に従事する主人公が、
化け物染みた諜報適正からスパイとして暗躍し続けて敗戦に終わる歴史を変えていく。
自らの情報収集によって明らかにした反政府組織を壊滅させたことに始まり、
特殊部隊を率いて敵国への侵入と良心の呵責に悩みつつやりたい放題していった良作です。
第一部が完結し第二部での架空独ソ戦の終わりが見えてきた所で残念ながらエター。
特に転生特典もなく1920年代後半のような架空ファンタジー世界に転生し、
才覚を示していた主人公は父親を人質に取られ親衛隊直下の研究機関に送られてしまう。
そこで切り捨てられまいと足掻き続けた結果伝説的なまでの諜報魔導士としての才能が開花し、
SS少尉の階級を持つ親衛隊士官として10歳で任官する。
そして敗戦後の戦勝国による訴追を防ぐ為に自らの外見も名前も経歴も全てを塗り変えて、
いつか父を救出し亡命する為に挑んだ初任務は味方の国防軍情報部に潜り込むスパイ活動で。
それから対パルチザン作戦を完璧にこなしたことで認められて創設した特殊部隊を率いて
戦場では最高の指揮官として君臨しつつ味方を欺き歴史に抗う彼女の戦いが始まっていきます。
本作はあんこも交えての本格的な戦記が楽しめる作品となっていて、
最初の情報部員としての工作活動から最前線に出るようになり戦争計画の立案に至る
様々な任務をこなす天才的な彼女によって歴史が着実に変わっていく。
彼女の立身出世と共に拡大するその模様が後方から前線までしっかり描かれるのが魅力です。
齢10歳での士官となり古参兵に侮られないようにする人心掌握術もしっかりと描写されます。
更に沙条愛歌AAの主人公の心理描写が丁寧なのが特徴的で、
自分の父親が人質に取られている環境下でその父親を助ける為には
他人の家族を人質に反政府組織の人間を脅迫して壊滅させ自らの有用性と忠誠を示す他ない。
人を助ける為に犠牲を強いる相反する環境に苦しむ中で孫子の兵法の前世の一節に見出した
人としての限界に挑戦する解法が超人的な彼女に相応しい難題となり立ち塞がりました。
そしてその丁寧に描写される展開から突如爆発するあんこならではの展開が面白く、
特にあの4連熱烈でいつもの→おかわり→盛り上がってまいりました→世界終焉かな?
となっていった劇的展開とその1/10000の確率に対する作者の答えは燃えました。
あそこでED突入していても全くおかしくなかった。
そんなしっかり描かれていく戦争描写とキャラ描写に加えあんこの爆発力を兼ね備えた、
未完ではありますが読み返したくなる魅力ある作品なので是非一読してみて下さい。
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