岸辺露伴は、自身にとって初めてとなる『個展』の作業の為東京を訪れた。
予定の時間までの暇つぶしに訪れた下北沢で、彼は一人の少女と出会う──。
ぼざろ×岸部露伴は動かないクロスオーバーの1万5千文字1話完結短編作品。
岸辺露伴とぼっちちゃんが出会い、露伴の迫力に溶けるぼっちにスタンドかと警戒する露伴。
その相性最悪かと思われた邂逅を極めて高い両原作の解像度で描き出した良作です。
記念すべき自身最初の個展に書き下ろしの壁画を描いて欲しいと依頼された岸辺露伴は、
自分が担当する壁画とデザイナーによる個展のデザインが同時並行作業になることで
個展のテーマが全く噛み合わなくなると怒り責任者の真意を問い詰めるべく一路東京へ。
そこで出会った路上ライブ前の不思議な少女ー後藤ひとりーに好奇心が湧いた露伴は、
そのライブへの案内を頼むも迫力に追い詰められたぼっちは突如爆発し分裂する。
スタンド攻撃かと思われたその事象にヘブンズ・ドアーで対抗することになりますが、
そこから露伴の芸術への考えを変えてしまう程の展開が読者にも披露されていきます。
本作はそんな本来は決して会うことのない露伴とぼっちちゃんの出会いを描く作品となり、
全く異なるジャンルでのクロスオーバー作品らしい新鮮さが感じられる中で
岸部露伴は動かないの原作漫画が思わず浮かんでくる各描写の巧みさが魅力的です。
身体が崩壊するのが日常なぼっちちゃんが普通に許容されるきららの作風と、
硬派なジョジョの画風が小説だからこそ衝突せず見事に共存した本作は正しく総合芸術でした。
そんな魅力的な描写の他にもストーリー構成が短編の中でしっかりと組み上げられていて、
冒頭の山月記から始まって序盤に噛み合わないと確信していた個展のその姿が
結束バンドの少女達による夢に圧倒されて素晴らしいものに代わるその一部始終が素晴らしい。
そしてその最後に露伴が描いた壁画の内容をたった一文から容易に思い浮べることが出来たのは
それまでの濃密な描写から本作の世界を十分に感じ取れたからに違いなく、
お互いを尊重し合う描写が似合いすぎる良い作品でした。
そんな原作を見事に掛け合わせたクロスオーバー作品なので是非一読してみて下さい。
PS.本当に良く練られていてじっくり作られた作品だと思っていたので、
去年このツイートが流れてきて凄いびっくりした。
コメント
実写アニメ化映像を「読んでいる」かのような生き生きとしたキャラクター描写がとにかくすごく良いし、ハーメルン特有(?)の特殊な書式を活用しているところにもぐっと引き込まれる快作でした!
コメありです!
投稿当時はハーメルンでもTwitter界隈でも話題になった作品で
読まれていない方いるかなと内心思っていましたが
早速まだ未読だった方にも届けられて良かったです!