性格最低のクズ魔法少女ちゃんが最底辺の肥溜めの中で輝くお話。日記形式+三人称。
全9話完結のオリジナルファンタジー中編作品。
何かを代償に捧げることでどんな奇跡も起こせる固有魔法を得た主人公が、
クズい性格だった筈なのに自ら命を燃やして国を救い切った過程とその後を描く良作です。
落ちこぼれから急に力に目覚めて国の最上位である魔法少女に成り上がった主人公は、
早速魔法少女としての役目な魔物からの防衛任務に赴いたものの
自らの寿命を一年捧げても固有魔法は何も反応しないという正真正銘の役立たず。
内心も魔法少女としてチヤホヤされたいというクズだったので完全にやる気をなくしていた所、
自らのレベルを上げるのではなく周囲のレベルを下げることでチヤホヤされることを考え付き
一切の魔法が使えない社会不適合者たちが集うスラム街への引っ越しを決行する。
そしてそのスラム街で魔法を教える師匠として弟子を取って存分に敬われて
妹分となった弟子達と共に幸せな生活を送っていた主人公ですが、
このスラム街は訳アリな人だらけで更にこの国自体にも危険が迫っていて。
この幸せな生活を失いたくないと思ったからこそ命を代償にして魔法が発動するようになった
ただのクズだった主人公の文字通り決死の戦いがここから始まっていきます。
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代償ストックメモ
寿命五十三年
腕二本
足二本
五感
主要臓器代償レートメモ
二十年=致命傷の即時完治
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本作は自分がちやほやされさえすればそれで良かった筈の主人公が、
妹達との日常を守るようになった主人公の意識の変化が丁寧に描かれている作品となっていて
特に主人公固有魔法「代償」の使われ方が序盤から終盤まで上手い。
最初は自分自身を何もどうにも思ってなかった為にその代価では魔法は発動せず、
尊い日常を送る程その魔法の効果が上がりますがその分大切になった命は着実に削られていく。
魔法少女名がサクリファイスで固有魔法が代償から予想される曇らせ展開が進行する中で、
最後の番外編で真実が明かされ予想以上の展開で締めくくられます。
そんな期待する曇らせ展開のハードルを見事に乗り越えていってくれて、
全9話6万字と読みやすく纏まっている作品なので是非一読してみて下さい。
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