本編17話のオリジナル長編完結作品。
飯を作ることが生き甲斐な小さな洋食店の店長やらない夫が、
客を道から攫ってきては更に鍵をかけ閉じ込めてまで自らの料理を堪能させていく。
このクレイジーという他ないやらない夫と濃い常連客達が送る日常コメディ作品です。
書籍版クレイジーキッチン2巻発売記念で2020年に特別編が投稿されているので、
遥か昔の記憶が蘇った方は是非この機会に読んでみて下さい。
小さな洋食店の店長にして天才料理人たるやらない夫には少々の問題点があった。
無言で料理をしたいので料理人は己一人だけで掃除が面倒なので店は狭い。
更には客の相手をするのも面倒という理由でアルバイトを一人雇っているにも関わらず、
その時の自分の作りたいものを勝手に作るので客の注文は無視。
そしてこの何処までも接客を無視したストロングスタイルを貫いていく店主に付き合う、
常連客もアル中社会人に始まり美少女JKに超一流シェフと逸材ばかりな様子で。
そんな洋食店を舞台としてあらゆる常識を投げ捨てた一話一回必ず笑えるコメディが、
やらない夫が食の道を志すようになった少しシリアスな過去も踏まえて展開されていきます。
本作は初めて読んでから10年以上が経過しても全く色褪せていない、
繰り出される問題行為の数々が兎に角笑って受け入れられる
主人公やらない夫の圧倒的なまでのキャラの濃さが魅力的です。
そしてそんなやらない夫に対する常連の反応も秀逸で全く飽きずに完結まで駆け抜けて、
覚えていても笑えるギャグの数々を楽しんでいると気付けば最終回となっていました。
一番笑ったのは第六話ハンバーグ回でやらない夫の料理人としての意地を描く王道展開に、
相反するように描かれたシュールすぎる客のリアクション。
良い話を決して良い話では終わらせない笑えるネタがこれでもかと詰め込まれ素敵でした。
そして店で繰り広げられる人間模様が中心で料理そのものがメインではない中、
AAから美味しさが十分に伝わってくる料理を見ると思わず食べたくなってまう描写が良い。
揚げ物の数々に焼き鳥にハンバーグと食欲が湧いてくるメニューが揃っています。
そんなコメディの数々から飲食店を開拓したくなる名作なので是非一読してみて下さい。
同じ世界観のコンビニ アイアンメイデンも別枠で紹介するか迷う程にめっちゃ好きです。
コメント
キャラがガッツリ立った名作でしたね……。
AA元に縛られないオリジナリティを持たせつつ、どれも魅力あるキャラに仕上げてあった良き作品です。
やる夫スレ、書籍化、書籍化コミカライズとどれもいい作品に仕上がっていました。
焼き鳥回最高に好き
途中からできる夫側もボケてくるのほんと笑う
ナノルさんコメありです!
常識的に考えての欠片もないやらない夫が何故これ程にも似合ってしまうのか。
我々読者の固定観念に完全に上をいかれたセンスを感じてます。
そして焼き鳥回で閉じ込められても普通に焼き鳥食べるできる夫もただ者ではなかった…
間違いなく食事系のやる夫スレで真っ先に挙げちゃうくらいの怪作にして傑作
「お前が注文すれば、いくらでも作ってやる!お前が望めば、いつでも作ってやる!」と言われたギャル夫の不憫さにゲラゲラ笑ったのも懐かしい思い出
ただし夜中に読むのはおすすめしない、夜食を食べる手が止まらなくなるから
コメありです!自分もやる夫スレのみならず小説含めたグルメ系で本作が一番好きかもしれません。
そしてまさにこの記事を作っていたのが土曜日の夜という一番読んではいけない時間帯に直撃し、湧いてくる食欲との葛藤と向き合いながら書き上げました。
客を不憫に感じて笑えるけれども決してやらない夫に不満は抱かないこの絶妙なバランスが本当に良く出来ている作品でした。。