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幻想郷を守る素敵な巫女の誕生譚「楽園の素敵な巫女に桜咲く」

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『一年目の誕生日には境内を見渡しなさい。母さんが霊夢に満開の桜を贈りましょう。
 二年目の誕生日には両手を広げてごらん。母さんが霊夢に暖かな春風を贈りましょう。
 三年目の誕生日には夜空を見上げてみて。母さんが霊夢に素敵な楽園を贈りましょう』 

「らんだむダンジョン」「ざくざくアクターズ」制作者の名が今の知名度は高いでしょうか。
今回は東方創想話の代表的な作家、はむすたさんの短編3話完結作品を紹介します。

米に繋ぎの里芋を加えた雑炊を食べ、蜜柑のバター焼きが朝食という困窮に陥っていた霊夢。
そもそも何故こんな糞貧乏な神社を切り盛りしてるのかと疑問に思う霊夢ですが、
先ずは目の前の貧乏を他人から食料を巻き上げることで解決するため人里に降りてみることに。
そしてその人里で慧音による妹紅自慢を聞いていると、
自分が誕生日を忘れていてしかもその誕生日にはずっと何かを待ち侘びていたことに気付く。
そしてどうしてもそれが思い出せず気がかりな霊夢は、
うどんげに頭を下げてまで退行催眠をかけてもらってある筈だった過去を思い出していきます。

本作はそんな霊夢が博麗神社の巫女となるまでの過去を描く涙無しに語れない名作で、
原作で明かされていない「霊夢が博麗の巫女となった経緯」「先代の巫女は何をしていたのか」
という謎について作者の素敵な解釈を踏まえたストーリーが展開され、
霊夢の一人称からでも存分に感じることが出来る母親の愛情は本当にしんみりします。

更に魔理沙が作中で魅せた世界で最も美しい魔法で見事再現した楽園の光景で、
ただの文字から鮮明な情景が浮かび上がってきたあの描写は忘れられません。
作中何度も登場する「楽園」は果たして何なのか。期待以上のものがご覧になれます。
そして序盤には最終話に繋がる伏線もばっちりと仕込まれていて、
読み返してもまた新たな発見が見つかる奥深い作品となっています。
そんな三話に詰め込まれた心温まる物語を是非堪能してみて下さい。

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