第一部完結。第二部が始まるところでエターとなった非安価長編あんこ作品。
カルロ・ゼン氏の約束の国オマージュですが約束の国要素はほぼ出てきません。
本作の読了後には余りの面白さに本作のメイントピックとなっている、
サッカーとユーゴスラビア紛争について思わず知りたくなること間違いなしな作品です。
主人公パワプロ君は1年生にしてスタメンを勝ち取り甲子園出場を決める程の選手だったが、
当時のプロ野球選手の不安定さと自分自身を犠牲にするその在り方を心配した親により、
野球がない外国に留学させられてしまう。
その留学先で知り合ったとあるワールドクラスの選手の夢を潰えさせない為に、
たった二人のサッカークラブに入団し夢を叶えるために奔走していきます。
本作はライバルとなるギルガメッシュのワールドクラスに躍り出た能力値ダイスから始まった
ギルガメッシュの更生とパワプロくんの成長が2大テーマのダブル主人公形式。
安価スレとは思えないキャラクターの立ち具合が本当に素晴らしく、
主人公を邪魔し続ける悪役にしか見えない父親でさえも、
その背景を知るとわかりみしか湧いてこない描写を表現できるのは本当にすごい。
また本作では数々の熱烈ダイスにより話が大きく変革していきますが、
その熱烈ダイスを活かしきれるだけの作者の知識量と描き出す展開にも脱帽な一作です。
あんこスレの熱烈をここまで熱く描写出来るとは…
特に突然の熱烈ダイスで、野球設定を活かしたこのデラップ砲の描写は今でも色褪せない。
上述の燃えるサッカーの描写の一方で、
ユーゴスラビア紛争に揺れていく国のシリアスな展開についても丁寧に描写されていて、
ダークなスポーツビジネスもある辛い環境でサッカーに生涯を賭けていく決意がとても良い。
あんこスレにも関わず学ぶシリーズの名作にもなっていると感じさせる、
サッカーが好きな方と歴史が好きな方のどちらにもお勧め出来る大作です。
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