めだかボックス原作の全8話中編あんこスレ完結作品。
黒神めだかの幼馴染であり彼女の才能を前に心折れた主人公やる夫が箱庭学園に入学し、
彼が学園生活を送る中で次々に闇が深すぎるラスボス級の精神構造が明らかになっていく。
そして訪れたあんこスレならではの衝撃的な結末に原作設定を見事に織り交ぜた良作です。
キャラメイクの結果万能の天才としてあらゆる能力を８割模写できる力を持つ主人公やる夫は
幼馴染の完璧超人黒神めだかにあらゆる分野で負け続けてしまったことで、
何もかも最初から諦めた平坦な生き方をしたい完全に燃え尽きている系男子。
そんなやる夫は箱庭学園でも静かに暮らしたいと志向しますが、
その優秀さに目を付けた風紀委員長雲仙冥利との邂逅で3連続熱烈を決めて明らかになった
厄ネタ過ぎる精神により物語に動かされる立場から物語を動かすラスボス格に飛躍する。
そんな歪み切ったやる夫を何処までも正しい原作主人公黒神めだかは果たして救えるのか。
ダイス監督の見事な采配によって波乱過ぎる結末が描写されます。
本作はただ平穏な生活をしたかっただけなのに全くそうなってはくれなかった、
想像を超えた出来事が最後まで詰まっているダイスによる波乱すぎる展開が魅力的です。
的確に選管と風紀委員会を撃ち抜きアブノーマルの異常者達にも気に入られた自然な流れが、
全ての読者を驚かせキャラクターを圧倒した最後のあの2割のスキルに繋がっていく。
これまで積み重ねたものが一気に解放された戦闘シーンは実に劇的なものとなり、
予定調和など存在しないあんこスレの力を見事に見せつけられました。
そしてその兎に角あんこによる波瀾万丈だった展開にも納得せざるを得ない
違和感なく一つの作品として纏め上げた作者による説得力のある描写が見事で、
ダイスによる強烈な展開に振り回されたやる夫につい感情移入してしまう程に受け入れられる。
特に結末でやる夫が選んだ決断と原作との結び付け方が素敵で作者の技量を感じました。
そんな本当にクライマックスが圧巻な作品なので是非一読してみて下さい。
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