時は201X年、世界は変色海域に包まれた。海から命は消え、人々は砲撃に飲み込まれる。赤く染まった海から押し寄せる怪異の群れに成すすべもなく翻弄される人類は、だがついに決戦兵器を完成させた。艤装と呼ばれるそれを纏った少女たちは海で命を燃やし戦い抜く。そんなライトな世界でチート転生者が深海棲艦相手に無双ゲーを繰り広げる（予定の）話。
全98話150万文字の艦これ長編完結作品。
深海棲艦の侵攻により制海権を全て失い本州以外全てが封鎖されてしまった日本。
しかしその絶望的な戦況で徴兵された中に最強チート転生者の吹雪がいた！
次元が違う強さの吹雪は敵を薙ぎ倒し一人ほのぼのとした前線生活を送る一方で、
他の徴兵された艦娘達は日本を守る為に命を懸けて戦っていく。
両者を上手く織り合わせ主人公最強ものの爽快感と戦争のシビアさを両立させた大作です。
深海棲艦の侵攻により危機的状況な日本で人間が装着すると艦娘となれる艤装が開発され
『なんかつよい』というチート能力を持って吹雪に転生した主人公が徴兵に引っかかる。
そして送り込まれた訓練所で同じく徴兵された艦娘達に実力の違いを叩きつける日々の中、
艦娘の救助に赴くとその様子が民間人によって密かに生配信されていた。
そこで民間人が初めて見た吹雪による艦娘戦闘シーンは素手でイ級を爆散させていて、
その次元が違う強さにネットは賞賛二割否定一割のドン引き二割に草四割の大盛り上がり。
そして訓練が終わり激戦区に配属後も変わらず吹雪は深海棲艦に無双をかましていきますが、
良識ある提督はその強さ故に徴兵された一般人を最も危険な任務に出さざるを得ないことを憂い
周りの艦娘達は同じ人間とは思えない吹雪に呆れつつ日本解放の為に命を懸けて戦っていく。
その戦いの舞台が本州から四国・九州・北海道と移る中で立ちはだかるのは、
砲撃も魚雷も全く効かない超巨大深海棲艦を始めとした圧倒的な力を持つ7体の超特殊個体。
吹雪を注視する動きを見せる大本営並びに深海棲艦側にもいた転生者達の真意を探りながら、
彼女が無双する日常と死を覚悟した艦娘達の死闘を描いていきます。
本作は転生チート吹雪さんのタイトルに相応しい無双っぷりが先ず特徴的で、
艦娘の枠に留まらないその戦闘機動は音速に達し一撃で敵を粉砕していく。
数々の戦場で想像の遥か上を行くチートっぷりを見せる飽きない戦闘描写と、
その実力に反して鎮守府ではのんびりと過ごす日常描写が魅力的です。
吹雪の無双を見たネット掲示板等の描写も色々なネタを織り交ぜて楽しませてくれました。
その気楽に楽しめる描写に加え締めるところはしっかり締める緩急がとても良く出来ていて、
幾ら最強でも吹雪だけでは日本の全方面から攻めてくる深海棲艦には太刀打ちできない為に
21話で決死の作戦に赴いたイムヤ等自衛隊員達を始めとした他の艦娘達。
吹雪以外の全員はシビアな現実と戦っているこのギャップが最終決戦まで良い作品でした。
そして最後はまさかそこまで描くとはと驚く程に、
チート転生者のその後を描き切った大作となっているので是非一読してみて下さい。
それにしてもこんな吹雪さんが同級生でいたら余りの距離感に情緒が破壊されてしまう…。
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