ワイルドアームズの設定を元にしたオリジナルストーリーで送る本編24話長編完結作品。
特別な才能はなく恵まれてもいない主人公達が戦いながら仲間となり、
どんな逆境でも心の強さを武器に足掻き続け遂には世界を救う熱くなれる良作です。
ワイルドアームズ未読ですが十分に楽しめました。
魔族との大戦で荒廃した世界で魔法学院を卒業したやる夫は、
学者としての研究費を稼ぐ為に冒険者として依頼をこなす日々を送っていた。
そして依頼先の村で出会った世界の荒廃を止める方法を探すフェイトと共に依頼の調査中、
7柱の守護神を復活させることが出来ればどうやらこの世界は元の自然豊かな星に戻るらしく。
星を救うべく旅に出たフェイトをやる夫は放っておけず彼女についていきますが、
順調だった旅の途中で国の英雄たちも同じく守護神を探しに出ることが発表される。
明らかに自分達よりもよっぽど相応しいエリート達が集っているのを見て協力を検討しますが、
国を操っている大財閥の影響下にあることを危険視し敵対関係となることを決断。
この嘗ての学友すらも敵となった中盤からやる夫やフェイトのシリアスな過去が明らかになり
決して譲ることの出来ない数々の熱い闘いが描写されていきます。
本作は可愛らしいフェイトと一緒に順調に進む旅をのんびりコメディチックに描いた序盤から
11話から一転してそれまでに入念に敷かれた伏線が回収される熱血展開が魅力的です。
特に全体を通して話の構成が本当に綺麗に纏まっていて余分に見える描写が無く、
凡庸ではなく王道と呼べる完成度が高い作品に仕上げられています。
そしてキャラクターも一人ひとりしっかり背景描写が語られる中で、
原作ネタを始め様々な作品のネタがそうくるかと思う程詰め込められていて会話が飽きない。
愛着の湧いた中盤以降は自分自身の弱さと向き合う成長過程が濃密に描き出されて、
何一つワイルドアームズの世界を知らない自分でも十分に世界にのめり込めました。
「やる夫は勇気で虹を描くッ!!」「私の『勇気の起爆剤』ッ!」に象徴される、
本作の名台詞もそれまでの丁寧な描写があって熱を感じ取れて良かったです。
そんなフェイトを始め他のキャラクターもキャラが立っていて、
完成度が高い王道展開が見られる作品となっているので是非一読してみて下さい。
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