まず、これまで五日間の出来事を、電話越しから西住まほに伝えた。
最初は普通に飲み食いして、そこから友情を育んで、いつしか「幸せになって欲しい」と言われて、そこから彼への憧れが強くなって、別れたくなくなって。
それで「大学で彼女を作る気は無い」と宣言された時、なぜかどうしようもなく嬉しくなって。
ねえまほ、この気持ちは何なの。分かる気がするけど、怖いの。『え、恋だろ』
あっさり結論付けられた。
――これは、牛丼から始まる恋物語。
質が物凄く高い恋愛作品を数多く投稿されているまなぶおじさんさん作の、
全8話18万文字完結でヒロインがダージリンのガルパン2次創作。
気品溢れる聖グロリアーナ女学院でのダージリンの学園生活を交えながら、
ボーイミーツガールものの恋愛ラノベとして書店に並んでいても全く遜色ない完成度で、
ダージリンと彼女を支え続けた主人公による6年間に渡るとても甘い恋愛模様が描写されます。
ある日無性に和食が食べたくなったあくまで日本人なダージリンは
聖グロの淑女としてあらゆる監視の目を潜り抜けて街で評判な牛丼屋に辿り着くことに成功。
そして満を持して牛丼を食して幸せいっぱいなひと時を堪能していた所、
いつの間にか対面に座っていた男性は自分のことを知ってしまっていた様子で。
「聖グロ戦車道チーム隊長のダージリンが学校から抜け出して和食に舌鼓を打っていた」
事実でも名誉毀損レベルなそんなことが公になってしまったら自身の名誉が地に堕ちてしまう。
しかしこの対面に座っていた男性は店で騒がずにそっとしておいてくれて、
良識を持っている訓練されたダージリンファンなオリ主だった。
その後食べ歩きが趣味で聖グロ周辺の美味しい店も全てリサーチ済みだと語る彼に、
ダージリンは明日の食べ歩きに同行させてもらえないかとランチのお誘いをかける。
初見の相手をランチに誘った彼女にも理由が勿論あって、
ダージリンが求める和食店は中々一人だけでは赴けず、
だからといって聖グロの仲間と一緒に和食なんて絶対に食べられはしない。
これはそんなダージリンが和食を食べられる一世一代のチャンスであった。
そして連日ランチを共にする日々が始まって、
素晴らしく聞き上手で自分を全力で応援してくれる彼に惹きつけられていくダージリン。
主人公の旅が終わり会えなくなってしまう前にメールアドレスの交換を行って
自身の恋心を自覚し電話番号も渡し牛丼屋での邂逅から60日目に告白へと移る。
60日目の告白でここで注目して頂きたいのが本作のタイトルは3007日間。
ここから8年間に及ぶダージリンと主人公の甘酸っぱい青春日常生活が幕を開けます。
本作は兎に角ダージリンが可愛いことに尽きる作品で、
インテリで気品に溢れているの姿を見せたかと思えば
主人公が好きな無糖の缶コーヒーに挑んで苦悶の表情を浮かべて激闘を繰り広げる様子や、
そして戦車道にかけるダージリンの苦悩や格好良さも解像度高く描写されて
18万字の中で様々な面を見せるダージリンがたまりません。
主人公のキャラクターもしっかり立っているのでお似合いなこの二人に頬が緩むばかりです。
そして本作のこの暖かな恋愛模様が気に入った方は同作者代表作の西住まほヒロインの、
「黒森峰学園艦で躍りましょう」もお勧めなので是非一読してみて下さい。
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