未島勘次はゲームと巨大ロボットが好きなだけの普通の高校生である。新作VRMMOである『HAO』はSF世界で銃を撃つ、肉体強化してブレードを振り回す、超能力を使う、あるいは戦闘を一切せずアイテム制作で荒稼ぎする等と圧倒的な戦闘スタイルとプレイスタイルの自由度が売りのゲームであった。
そんな中で巨大ロボットを制作、操縦し戦闘することもできるらしいと聞いた主人公は意気揚々とプレイを始めたが彼の前に立ちはだかるのは『HAO』のクソゲーっぷりだった。
初期スキルポイントを全て費やした結果得たものが動かないおんぼろ機体と読ませる気のない分厚い英語の専門書2冊だけという事実。それにキレた主人公は本のデータを掲示板に全てアップロードするがその行動が周囲の勘違いを呼ぶ引き金で……！？
『HAO』の真実に気が付かない主人公は周囲からの勘違いをどんどん強めていってしまう。がそんなことを気にせず巨大ロボットのために頑張る話です。
現在コミカライズ連載中の全129話42万字長編完結作品。
新作VRMMOをプレイ中に未来の超機密情報を発見し即座に世界中に公開した主人公。
そこから未来予知能力者と勘違いされる程の的確すぎる立ち回りによって、
その後もVRMMOの謎を解明しながら未来情報で破滅する世界を救う本格SF大作です。
2040年の新作VRMMO『HAO』にログインしたロボゲー好きな主人公が、
全初期ポイントを注ぎ込んだ末に取得した巨大ロボットはボロボロで修理から必要だった。
そして主人公はその説明書をネットに公開した上で配信で視聴者と一緒に修理していると、
何故かその説明書は実在する海外企業の機密情報を更に進化させたものであることが判明し
海外企業の株価はマイナス20％を記録しそのタイミングで何故かHAOもアップデートに入る。
どうやらこのアップデートは主人公が機密情報を世界中に公開したことで発生したもので、
現実世界に連動してゲームの世界も変わっていくシステムである様子。
そして最初の第一章では核兵器でも倒せないイベントボスにVRMMOらしい方法で挑戦し
その余りにも一人突出した立ち回りから未来予知能力者ではないかと勘違いが加速していく。
しかしそもそも何故未来情報としか思えないものがこのゲームに存在していて、
ゲーム内で語られる2050年に待ち受ける破滅と2055年の成功率０％作戦とは何か。
その謎に迫り世界が明らかになる第二章から世界を救う最終章へと繋がっていきます。
本作はシュタインズゲートを思い出す現在と未来の世界線が複雑に交わる設定が特徴的で、
HAOをプレイし得た未来情報で現実世界を変革するというだけには留まらない、
今の自分が一体どの世界線にいるのかが鍵を握ってくる展開が待っています。
そして一章で読者が親しんだVRMMOでヒロイン達による衝撃的な展開に引き込まれた後に
それまで謎だった各種伏線が少しずつ明らかになる構成も魅力的。
特に好きなのはそれまで決して信じなかった自身による未来改変を自覚して実行し、
未来を塗りつぶすという絶望の先を覚悟して進んだ最終章で集大成となる盛り上がりでした。
そんなシリアスさの中でも最後までクソゲーらしさが光ったコメディも随所で和ませてくれて
読みやすい作品となっているので是非一読してみて下さい。
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