高田郁『銀二貫』をやる夫スレ化した全11話の長編完結作品。
商人に命を救われた武士の子やる夫が士分を捨て商家の丁稚奉公として働いていくことに。
そんな彼が数々の試練の末に一人前の商人となる人情味溢れるドラマが楽しめる感動作です。
武士の仇討ちによって父親を亡くし自分も討たれる寸前だった所を、
それを見かけた寒天問屋の主人ダディに銀二貫と引き換えにしてその命を助けられたやる夫。
彼は寒天作りの厳しい修行に耐えて寒天問屋の丁稚として働くことを認められて、
武士からの環境の変化に加え武家嫌いの番頭に目の敵にされつつ身を粉にして働いていた。
そうして働いていく内に自分達の身も覚えもない品質偽装を突きつけられたりと、
事件の解決に動く中でやる夫は大阪商人としての大切な心掛けを学びながら
恋をする翠星石から託されたこれまでにない寒天を作る為に試行錯誤を重ね成長していきます。
本作は大阪商人という存在を体現しているダディを始め
魅力的なキャラクターが沢山描かれているのが特徴的で、
特にやる夫に厳しく当たっていた番頭の見学会いく夫すらも愛着が湧いてくる。
何度も迫りくる大火を始め苦難に直面する中で人と人が助け合う良さを感じさせてくれました。
そして商人にとって自分自身よりも大切な暖簾の価値と始末、才覚、神信心という
質素に知恵を絞るだけではなく神仏に感謝する心意気が新鮮でした。
ストーリーもやる夫を救った「銀二貫」が様々な巡り合わせの元で登場してきて
特に最終章最後のダディのセリフが何回読んでも非常に感慨深い。涙腺に直撃です。
寒天問屋として中心となる寒天についても心太との違いから作り方まで詳しく描写され、
読み終わると寒天の和菓子が食べたくなってくる。
そんなドラマ化もされた人気原作の良さがやる夫スレでも面白いので是非一読してみて下さい。
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