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ハーメルン

何処までも正しいアーサー王の影となって伝説を残したとある少女の物語「騎士王の影武者」

 私は誓ったんだ。

 たとえ何があろうと
 たとえ何かを失おうと
 たとえ何と引き換えようと
 たとえその先に避け得ない、破滅があろうと

 私は……私は……必ず……

 ——死ぬまで戦うと誓ったんだ。

 アーサー王とは別の、アルトリア顔の主人公が原作に介入する話

アーサー王伝説編101話完結、Fate/ZERO編で停止中153万字のFate長編作品。
Fateの知識を持ちブリテンに生まれアーサー王に大の為の小として切り捨てられた主人公が、
完璧で何処までも正しいアーサー王の影武者として最後まで生き足掻いていく。

円卓の騎士達1人1人を濃密に描き出したFateアーサー王伝説2次で一番の推し作品です。

卑王ヴォーティガーンとの決戦に物資が決定的なまでに不足していたアーサー王は、
決戦に勝利しより多くの人々を救う為一つの村の物資を根こそぎ調達することを決めた。
その後の何もかも物が無くなり村人全員が守ろうとした1人の少女を残して滅びた村に
モルガンが現れてアーサー王への復讐の道具とする為にこの少女を拾って育てていきますが、
この少女にはFate世界の記憶があり自分の村を滅ぼしたアーサー王が正しく完璧な王であり
彼女が血も滲む様な思いで苦しみながら決断したことを知っていた。

なので自分の村を滅ぼした相手を単純に恨むことは出来ず、
自分達を犠牲にして助かった運が良かっただけの民衆達が何も知らず平和を謳歌していても
その生活は村の犠牲の上で成り立っている為に復讐しては犠牲の意味が無くなってしまう。

ではどうやってこの村を滅ぼされた恨みを晴らせばよいのか。
そんな彼女が全てを犠牲にしてでも倒
決めた真の敵を見つけた序盤から、
ブリテンの史上最年少の騎士に任命され円卓の騎士達と関わる中盤が始まり
全てが終わるカムランの丘に向けて迫力が増す一方の戦いが幾度も繰り広げられていきます。

本作は何処までも正しいアーサー王に対比して、
何処までもどうしようもなかった主人公による序盤の心理描写が兎に角惹きつけられます。
重すぎる過去を背負った主人公とアーサー王による文字だけで震えてくる初問答に始まって、
キャメロット城のとある庭園の完成に至ったその感動的な過程がたまりません。

アーサー王以外の円卓の騎士達の描写も素晴らしく濃密に描かれていて、
主人公を地獄に叩き落としたと自覚している騎士達が真意が全く見えない同僚となった主人公に
どうしたら良いのか悩み腹の探り合いを続けながら分かり合っていく。
その騎士達に待ち受ける過酷な運命はアーサー王と同格な主人公を加えただけでは変わらず、
しかし原作とは全く異なる本格的な展開が描き出されます。

そんな大作となっているので読み終わった方はチラ裏の外伝も是非読んでみて下さい。

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