・この作品は、ドストエフスキー「罪と罰」を現代風にアレンジしております。
・作中、不愉快さを感じる描写があるかも知れませんが、ご容赦下さい。
・ネタバレは勘弁してください。>>1の笑顔が曇ります。
ドストエフスキーの名著「罪と罰」を現代風にアレンジした落合尚之氏の漫画から、
更に作者オリジナルストーリーを加えてやる夫スレ化した全18話完結作品。
ロシア文学ならではの登場人物の複雑さを含め難解な原作を現代日本に置き換えることで、
非常に分かりやすい形で原作の魅力が伝わり魅力的に仕上げられている名作です。
読むのを挫折した苦い記憶がある原作ですが本作読了後は原作も読みたくさせてくれました。
成績優秀で小説を書けば賞を取れるほどの実力者として大学生活を送っていた主人公できる夫。
しかし自分の学費を賄う為に妹の朝倉涼子が倍以上年の離れた40代の男に嫁ぐと伝えられ、
何故自分の為に妹の未来を犠牲にしなければならないのかとできる夫は激怒。
先ずは金を稼ぐために紹介されたアルバイトを行うものの、
初日にして涼宮ハルヒを始めとする周囲に嵌められて痴漢と疑われてしまう。
普通に働く事も出来ないロクデナシと見られることに耐えられず部屋に引きこもっていた中
妹涼子から結婚するけど心配しないで健康に過ごしてという手紙が届き衝動的に街へ出た際に、
自分を嵌めた集団の一人長門有希と出会い彼女の置かれた過酷な環境を知る。
その話を聞いたできる夫は諸悪の根源である涼宮ハルヒの殺害計画を立てると、
奪った金を私利私欲ではなく社会に貢献する為に自分が使い、
そして大義の為なら犠牲を払える自分は英雄になれる資格があることを証明するために、
入念な下調べの末に計画を実行に移して殺害には成功。
しかし何時も誰かに見られている気がする疑心暗鬼に陥り捜査には追い詰められていく。
「罪」のターンが終わってここからが本作の本番となる「罰」のターンが始まります。
できる夫の予想外だった罪とは何か。そんなできる夫に下される罰とは。
正に手に汗握るような緊迫感溢れる描写の連続に心が揺さぶられ続けます。
本作は罪を犯した後のできる夫の心情がリアルに描かれているのが魅力で、
聖母のような人物に懺悔しても尚狡猾に逃げ回り続けるのか。それとも警察に自首するのか。
様々な人物との出会いによって揺れ動き続ける様子が説得力もって描き出されています。
印象的なシーンは原作の名台詞である以下とそして終盤打ち上がる花火のシーン。
僕は、君に対して頭を下げたわけじゃない。
この世界で流される、全ての涙。全ての苦悩に、頭を下げたんだ。
世界はこんなにも良い人ばかりだったのに、何故どうしてこんなことになってしまったのか。
何度読み返してもその世の無常さにたまらなくさせてくれました。
そんなやはりやる夫スレは分かりやすいなと感じ入ることが出来てとてもお勧めな作品です。
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— 夜市よい (@yoichi_041) August 6, 2023
ドストエフスキーの名著「罪と罰」を
現代風にアレンジしたやる夫スレにすることで、
非常に分かりやすい形で原作の魅力が伝わる名作です。
今年も花火の季節となりました。
英雄になりきれなかった男の罪に下される罰
「できる夫で「罪と罰」」https://t.co/j0Mk7UsRcX
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