氷川日菜は飽きている。
白鷺千聖は諦めている。
氷川紗夜は焦がれている。丸山彩は、ただ一人舞台に立っている。
あやさよはいいぞ……!
全23話16万字の原作バンドリ長編完結作品。原作キャラクターを知っている方向け。
丸山彩が入学早々の氷川紗夜に一目惚れして彼女と親密になろうとしていきますが、
氷川紗夜は家庭内虐待を受けている日常から離れた音楽の世界しか必要としていなかった。
自分を始め人に知られることも拒絶する彼女の苦しみにどうしたら支えになれるのか、
真摯に悩んで行動した恋の行方が本格的なバンド活動を踏まえて描写されていきます。
好きな人に嫌われることを覚悟しながらも真っ直ぐぶつかっていく情熱に触れられる。
アイドルを目指すもオーディションに落選し続ける現実に落ち込んでいる丸山彩は、
街中で偶然出会って仲良くなった氷川紗夜を励みにして日々を過ごしていた。
そんな日常の中で氷川紗夜の双子の妹と同じアイドルバンドでのデビューとなった事が切欠で、
彼女が家庭内で親からの精神的虐待を受けていることを知ってしまう。
しかしそのことには触れないでほしいと彼女から直々に一線を引かれて、
頼まれてもいないのにただの友人が家庭環境に踏み込むのは傲慢だと仲間からは助言を受ける。
それでも恋をした彼女の苦しみの助けになってあげたいのだと突き進む彼女によって
あまりにも辛い氷川紗夜の生活環境が明らかになると共に恋愛模様が展開されます。
本作は家庭環境に大きな問題を抱えた少女に恋をした丸山彩の奮闘模様が中心となりますが、
この丸山彩が恋に浮かれた夢見がちな少女としてではなく
困難と課題を自覚した上でそれでも成し遂げたいのだと覚悟しているのが魅力的です。
先ず告白して拒絶されてしまったらもう元の友人関係には戻れず、
更に彼女の家庭環境に踏み込んでしまったら知らなかった嘗てのように接することが出来ない。
しかし彼女は現に苦しんでいて一線を越えなければ永遠に関係は変わらない。
単なるクラスメイトの友人が解消出来るような小さな問題では全くなく、
彼女から助けを求められたら動いてそれまでは彼女の日常に寄り添ってあげれば良いのだと
そんな一般論を振りかざせない覚悟が描写されるのでより良い恋の結末を願いたくなります。
そしてその兎に角ひたむきで前を向いていて応援したくなった序中盤を終えると、
応援していた筈が気づけば逆に魅せられていたアイドルとしてのライブシーンが終盤で熱い。
恋愛模様と直接的には関係の無いお仕事のアイドル描写が本格的に描写されてきましたが、
序盤と終盤の二つのライブシーンの対比から確かに丸山彩の成長を体感することが出来る。
苦難の連続にも決して挫けない彼女の魅力がとことん味わえるので是非一読してみて下さい。


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