悪魔のような妖怪の、ちょっとした気紛れで誕生したのがこの私、風見燐香。不吉なことに定評のある花から生まれた妖怪だ。
私にはちょっとした秘密がある。この世界の住人には知りえない知識があるのだ。でも、前世の私の記憶はない。だがそんなことは大したことではない。今はどうでもよいのだ。
一秒でも早くこの地獄の様な生活から抜け出さなければ。そうしなければ、私は死んでしまう。悪魔にプチッと潰されてしまう。
外見は、風見幽香を幼くした2Pカラー。親のスパルタ調教から逃れる為に奮闘する、一人の少女のがんばり物語。
多分。
東方原作全89話72万字長編完結作品。
本作を知らない方も「死神を食べた少女」の七沢またりさんは知っている方は多いでしょう。
風見幽香の娘として誕生した七沢またりさんらしい天然で個性的な少女主人公が、
凄まじいスパルタ教育を受けながら数々の原作異変に関わり最後には大異変を引き起こす。
その過程で東方原作キャラクター達と主人公をこれ以上なく魅力的に描き切った大作です。
風見幽香が彼岸花へ強力な妖力を照射して誕生した主人公風見燐香は、
格闘術から妖術に至る戦闘術を死ぬ寸前まで毎日毎日叩き込まれるスパルタ教育を受けていた。
そんな主人公が目的とするのは一刻も早く母から逃げ出して幻想郷でほっこり暮らすことで、
罵詈雑言に耐えつつ鍛錬を行っていると遂に幻想郷が紅い霧で覆われる紅霧異変が発生する。
これを好機として密かに磨いていた隠形術で家から脱走を果たしアリスに1日だけ匿われるも、
直ぐに幽香によって地獄の実家へと連れ戻されてしまう。
しかし何故かそれから週に3日は行くことを許してくれたアリスの家で過ごしながら、
春雪異変や萃夢想・永夜異変に巻き込まれルーミアやフランドールに妖夢と仲良くなる。
そして彼女達と一緒に引き起こした主人公最初で最後の異変・彼岸花異変によって
何故幽香が自身の子に恨まれる苛烈すぎるスパルタ教育を施して逃げ出さないように監視し、
それ程までに拘っているにも関わらず何故アリスに預けることにしたのか。
序盤から徐々に描写された主人公の伏線が回収される圧巻の終盤が幕を開けます。
本作は序盤ほのぼの日常コメディから終盤一気にシリアス展開に向かう構成が特徴的で、
最初は幽香という鬼と離れてルーミア達四馬鹿と仲良くなった会話の掛け合い漫才が楽しめて
特に作中何度見ても笑える妖夢のリアクション芸が好きでした。
そしてそうした日常を楽しみつつも主人公の特徴となる謎は少しずつ深まっていって、
終盤はその謎が幽香側の事情と共にシリアスに明かされていく。
最後はIFエンド4連発からそれを生かしたエンディングを迎える素晴らしい構成でした。
そして特筆すべきなのが原作キャラクター達が本当に魅力的に描かれていることで、
風見幽香の99%のツンから全てにここすきを記録したい秘められた1%のデレ描写に始まり、
アリスのクールビューティーながらも溢れる優しさとフランドールの狂気に、
絶対に1面ボスとは言わせない存在感を放ったルーミアの「そーなのかー」の使い方。
勿論登場する霊夢達自機組と合わせてまた新たな幻想郷がご覧になれます。
そんな原作の世界に浸れる作品なので是非一読してみて下さい。
コメント
ゆうかりんか懐かしい
作者プロだろと思ってたら本当にプロだった思い出
コメントありがとうございます!
知ってから読み返しても納得せざるを得ない完成度でした。。
嘘だろこの人死神食べた人だったのか
コメありです!
知って読むとオリジナル作品にはなかった2次創作らしい他原作のパロディが沢山出てきて親近感が湧いてきます。
この2つの小説が同一人物だったなんて知らなかった。
ありがとうございます!